その1では、「あいち2022」【愛知芸術文化センター】の10Fの展示品を紹介した。ここでは8階の展示品を前回と同様に写真と五行詩で紹介する。なお上記の写真は後述。
1.8階入口の2つの映像展示
10階から8階へは、エレベータかエスカレータで降りていく。
エスカレータが吹き抜けを横断して空中散歩するのでおすすめ。
降りると、この最後の2件に書いたラーニングプログラムの入口近くだが、そこを差し当たってパスし、吹き抜けを半周して、8階お展示場入口へ。
(1)ディムート・シュトレーベ 作品「《EL TURCO》 2022」
入口を入ると、大画面で画像処理によって線描となった2人が哲学的なことを話し合う動画があった。それが最初に示した画像。なかなか不気味な顔で、中央に対話記録が描きだされている。
顔の変化はなかなか面白かったが、英文の理解が追いつかなかったのでパス。
作者はMITで研究している人で、先端のマテリアルサイエンスを芸術に活用した結果の記事がMITニュースに出ていた。
(2)ケイト・クーパー 作品 「無題(ソマティック・エイリアシングに倣って)」
人体のX線CTのような画像やゾウリムシのような有機体の画像が、、明るいフラッシュライトのような輝きを挟みつつ、繰り返される。作者は映像が人に何をもたらすか興味を持っているとのことだが、映像の作り方がサブリミナル効果を意識しているようでちょっと不気味だった。
そういった意味で、この二人連れの反応は、いいサンプルなのかもしれない。
<二人連れの反応>
二人連れ
一人はバッグを
掻き回し
一人は有機の
ダンスに見入る
二人連れ
一人はバッグを
掻き回し
一人は有機の
ダンスに見入る
一人は凝視、もう一人は完全に眼をそむける努力をしていた。
2.荒川修作・マドリン・ギンズ 作 「問われているプロセス/天命反転の橋」
愛知出身のコンセプチュアルアーティスト。
「養老天命反転地」を作った作者による、中に入ると上下がひっくり返るという橋の模型。中に小さな人間の模型があるらしいが見落としていました。
下記は全体の写真。
そして近付きました。向こうに女性が見えます。
<覗くと世界がひっくり返る>
覗いたら
吸い込まれるよ
その中は
天地が逆転
それもいいかも
覗いたら
吸い込まれるよ
その中は
天地が逆転
それもいいかも
上の写真は詩に合わせて、上下反転させています。
3.リリアナ・アングロ・コルテス 作品群
鮮やかな黄色と緑の旗を吊り下げるとともに展示室に張り巡らされたロープは、編まれた頭髪だそうだ。
アフリカからアメリカ大陸へ連れてこられた女性はアイデンティティとプロテストの意味で、独特の編んだ髪で飾った。その意志を示した展示品。
アメリカだけでなくメキシコから南米まで広く連れてこられているのに驚いた。下の写真左の壁に、連れてこられたアメリカの場所。
<ロープの由来>
頭髪の
ロープで旗を
掲げよう
アフリカの血の
覚悟の標
頭髪の
ロープで旗を
掲げよう
アフリカの血の
覚悟の標
下記が結った髪。
4.シュエ ウッモン(チーチーターとのコラボレーション) 作品群
ミャンマーの自分の周りの写真に、コラボで筆で色をつけてもらった作品。
クーデターとその後の内戦の混乱の中、コロナ禍も発生し、作者自身がコロナにかかって、医療崩壊の中で苦しみながら製作した作品。
<ミャンマーを感じて>
私たち
クーデターとコロナに
襲われた
でも生きて撮る
感じる? ミャンマー
私たち
クーデターとコロナに
襲われた
でも生きて撮る
感じる? ミャンマー
下記はたぶん作者の状況。(芸術祭HPより)
5.岸本清子 作品 「ホワイトマウンテンゴリラ」
この人も愛知出身の作者。自由や愛の象徴としての捕らわれたゴリラが解き放たれる様が描かれる。《怪獣文明》は、家父長制社会や男根社会が現れる以前の原始的社会こそ理想世界であるとのこと。
<ホワイトマウンテンゴリラは檻を壊す>
おい おじさん
本当の愛を
知りたいか
檻壊すから
そこで待ってろ
おい おじさん
本当の愛を
知りたいか
檻壊すから
そこで待ってろ
6.山本高之と猩々コレクティブ 作品 「猩々大発生」
そして 先ほどパスしたラーニングプログラムのところへ行きました。作者が地域の人と一緒に、美術作品を作ったものが展示されています。
名古屋のお祭りに出てくる赤い顔の猩々、
福の神です。
せっかく集合写真をお願いしたのに、背の高すぎる人がファインダーから飛び出しました。
<集合写真>
猩々の
笑顔が揃って
お出迎え
だからお願い
集合写真を
猩々の
笑顔が揃って
お出迎え
だからお願い
集合写真を
希望すれば、猩々に変身させてもらえます。こんな感じ。
2.井上唯 「ほの国を知るためのプロジェクト」
穂国(東三河)を知るフィールドワークから作品を作ったもの。
いろいろ雑多なものが展示されています。
<なんか ほしいの ありますか?>
おばあちゃん
なんかほしいの
ありますか
いやいらないよ
ホコリつくから
おばあちゃん
なんかほしいの
ありますか
いやいらないよ
ホコリつくから
最初の「おばあちゃん」は語感で選びました。
お掃除に面倒なものはいやですね。
<追記>
テーマのブレークダウンについて
最初に書いたこの芸術祭のテーマは、下記にブレークダウンされているようである。
1.過去から未来への時間軸を往来しながら「STILL ALIVE」を考える
過去の物語を蘇らせるとともに、100万年後までのサステナビリティを見通す。そして現在をいかに生き抜くかを考える
2.現代美術の源流を再訪しつつ、類型化されてきた芸術分野の狭間に光を当てる
コンセプチュアルアートを見直し、伝統工芸等を現代美術の見方で考える。そして言葉、記号、身体表現などに注目する。
3.生きることは学び続けること。未知の世界、多様な価値観、圧倒的な美しさと出会う
現代美術のラーニングプログラムによる理解、共感の拡大。新しい美の発見とその美しさへの感動。
確かに、これまでに紹介した作品は、これら内容のどこかに適合していると思う。
私も 新しい美の発見とその美しさへの感動を目指そう。
てんちゃんもいろんな展覧会に行かれますね。
私もこの夏、2回行きました。好きな展覧会がやってくるとうれしいですね。