12月26日、安倍晋三首相は先の戦争を美化し、A級戦犯を合祀する靖国神社に参拝しました。今回の参拝は本殿に上がる正式な形式にのっとったもので、安倍首相は「内閣総理大臣 安倍晋三」と記帳したことを明らかにしています。私たちは、首相の靖国神社参拝に強く抗議します。
安倍首相は、「英霊に尊崇の念を表するのは当たり前のことだ」と発言していますが、アジア侵略を企て指導したA級戦犯を「英霊」として顕彰する神社に首相が参拝するのは、侵略戦争の反省に立った平和理念、政教分離原則の憲法20条に違反するのみならず、戦後の国際関係を築いてきたサンフランシスコ講和条約、日中共同声明、あるいは戦後五十年国会決議、日韓パートナーシップ共同宣言などの内外合意をことごとく踏みにじる暴挙です。日韓首脳会談は2011年12月以降開催されず、尖閣問題等をめぐり日中関係が緊張している今、首相の靖国神社参拝は日本が国際社会の中で築きたいと願う立ち位置を台無しにするものです。
戦前靖国神社は、天皇が祭主となって戦争の悲惨な実態をおおい隠し、戦死者を顕彰し遺族の悲しみを喜びに転化させる闇の祭儀の場でした。陸・海軍省管轄の軍事施設でもあり、民衆を戦場に駆り立てる精神的支柱でした。
戦後は一宗教法人となりましたが、A級戦犯の合祀・顕彰や遊就館の展示に明らかなように、今も英霊顕彰・侵略美化の施設であり続けています。また、日本の侵略戦争に駆り出されて死んだ約28,000名の台湾人、約22,000名の韓国・朝鮮人を含む多数の戦没者が今も合祀されています。台湾・韓国の遺族から、いま切実な合祀取り下げ要求が出されていますが、靖国神社は遺族の声に耳を傾けようともしません。今回の安倍首相による靖国神社参拝は靖国神社に体現される誤った歴史認識を日本政府が肯定するものとして世界から受け止められます。私たちはそれを許すわけにはいきません。
安倍政権は今臨時国会で、国家安全保障会議(NSC)を設置することで、外交と安全保障に関する官邸の司令塔機能を強化し、特定秘密保護法で市民の「知る権利」を奪い、さらに次期通常国会で国家安全保障基本法を制定することで、憲法9条の解釈改憲を目指しています。こうした一連の施策と合わせて考えると、このタイミングで安倍首相が靖国神社を参拝するのは日本が平和主義を否定し、再び民衆を戦場へ駆り立てる国へと生まれ変わる意思表明であることは衆目の一致するところでしょう。
私たちは今こそ未来に向かって平和な日本、平和なアジアをつくり出していくために、首相の靖国神社参拝に反対し、強く抗議します。
2013年12月27日
赤旗
安倍晋三首相の靖国神社参拝をめぐって、NHKなど一部のメディアが「『不戦の誓い』をした」などという首相の説明を無批判に流しています。靖国神社とは何か、首相の参拝がなぜ世界から厳しい批判をあびるのか、問題の根本を説き明かした報道はほとんどみられません。靖国神社のそもそもを知れば、首相の参拝が「内政問題」や「内心の自由」では絶対に片付かない、深刻な問題であることがはっきり見えてきます。
戦前・戦中はどんな施設
戦争動員の精神的支柱
靖国神社は、明治時代の1869年、新政府軍と旧幕府側との間で戦われた戊辰(ぼしん)戦争で戦死した軍人をまつるために創建された「東京招魂(しょうこん)社」が前身です。79年に「靖国神社」へと改称。「別格官幣(かんぺい)社」という特別の社格を与えられ、国家神道の中心的神社と位置づけられました。
一般の神社とは異なり旧陸軍、海軍両省が管理する軍事的宗教施設でした。明治維新からアジア・太平洋戦争までの戦没者240万人余をまつっていますが、いずれも“天皇のため”にたたかって死んだ軍人・軍属だけです。
このため、西南戦争(1877年)で天皇に背いた“賊軍”の西郷隆盛や捕虜となって病死した兵士、原子爆弾や空襲の民間犠牲者、旧「満洲」など外地で死んだ一般国民などはまつられていません。
天皇制政府と軍部は、天皇への「忠義」を尽くして戦死し「靖国の英霊」になることを最大の美徳として宣伝。靖国神社を、侵略戦争に国民全体を動員するための精神的な支柱として持ち上げました。
安倍首相は、「国に殉じた人に尊崇(そんすう)の念を示す」などと繰り返しています。しかし、靖国神社への合祀(ごうし)は、天皇のためにたたかって死んだかどうかにあり、死者を選別することに本質があります。また「英霊」としての合祀は、戦死者や遺族の意思に関わりなく行われます。戦争遂行や侵略戦争美化の“道具”として人の死を利用することは、戦争犠牲者を冒とくするものではないでしょうか。
戦後果たした役割
戦争美化する発信地に
靖国神社は戦後、信教の自由や政教分離を厳格に定めた日本国憲法のもと、一宗教法人となりました。しかし、“日本の行った戦争は正義の戦争だった”とする特異な戦争観を「国論」とするための策動が、同神社を中心に続きました。「国家護持」や天皇・首相などの「公式参拝」を求める運動などです。
とりわけ、1986年に同神社の付属施設・遊就館(ゆうしゅうかん)が再開されると、日本の過去の侵略戦争を美化・正当化する「靖国史観」の宣伝センターの役割を強めていきます。
遊就館は、「近代史の真実」を学ぶパネルや「英霊」の遺書・遺品、当時の兵器を展示している軍事博物館です。いまでも、「先の『大東亜戦争』は、わが国の自存自衛と人種平等による国際秩序の構築を目指すことを目的とした戦いでありました」(3月から靖国神社が開く「遊就館特別展 大東亜戦争七十年展Ⅲ」の案内チラシ)などと公然とのべています。
こうした靖国神社の本質は、小泉純一郎首相(当時)らの度重なる参拝や神社の実態を批判した日本共産党の不破哲三議長(同)の講演(05年5月)をきっかけに広く知られるようになり、国内外のメディア・世論から「軍国主義の過去を再評価しようとする動きの象徴的中心」(米紙)などと厳しい批判が起こりました。
07年には、遊就館の展示パネルを一部改修。太平洋戦争が「資源に乏しい日本を、禁輸で追い詰めて開戦を強要」したルーズベルト米大統領の陰謀だったかのように描いた「反米」的な部分を削除しましたが、先のチラシのように戦争を賛美する本音は隠しきれません。
首相の参拝は、日本の過去の侵略戦争を肯定・美化する靖国神社の立場に自らを置くことを意味します。それは、日独伊のファシズムと侵略戦争を断罪した戦後の国際秩序への挑戦とみなされるのです。
戦争指導者を「神」
国際社会への公約違反
靖国神社は1978年に、東京裁判(極東国際軍事裁判)でA級戦犯とされ処刑された東条英機元首相ら14人を合祀しています。
A級戦犯とは、東京裁判で、侵略戦争を計画・準備・開始・遂行した「平和に対する罪」(a)、占領地での殺人や捕虜への虐待などの「戦争犯罪」(b)、「人道に対する罪」(c)などすべての罪で裁かれた犯罪人です。一般将兵がbとcの罪に問われた「BC級戦犯」と区別し、A級戦犯と呼びます。
安倍首相の祖父、岸信介元首相も東条内閣の商相などを務めたA級戦犯容疑者でした。
靖国神社は、このアジアと日本の国民に多大な犠牲を強いた戦争指導者を、“神”としてまつっています。
アンダーライン抽出
天皇のため”にたたかって死んだ軍人・軍属だけです。
侵略戦争
死者を選別
侵略戦争を美化・正当化
戦争を賛美
侵略戦争を肯定・美化する靖国神社の立場
戦争指導者を、“神”
首相の靖国神社参拝に関しての中国人、ピースボート、赤旗の反応である。
参拝を軍国主義化と同義とするだけで十分に妄言と言える。つまり冒頭の写真だけで事足りるのだが、今回はピースボートと赤旗の関連記事を載せた。
読む価値も疑わしいので分かり易くアンダーラインを付け抽出しておいた。
目が滑る方は記事を飛ばして貰いたい。
侵略戦争という言葉は敵国の使う言葉であり、日本に於いて日本人が使うこと自体完全に間違っているといえるだろう。
つまり彼等は日本人が神社に参拝する行為はカルト的で悍ましいとすら感じているのである。
アンダーラインについてひとつづつ解説していく。
6.天皇のため”にたたかって死んだ軍人・軍属だけです。
真岡郵便局や対馬丸の民間人も祀られている。
7.死者を選別
遺族の希望があれば合祀されることは選別とは言い難い。
8.戦争を賛美
戦争自体を賛美している訳ではない。
9.戦争指導者を、“神”
指導者のみを神としているのではなく、戦場で倒れた兵士も英霊という一体の神として祀っているので、このようなロジックはあたらない。
以上のように赤旗、ピースボートは先の大戦を侵略戦争とし、靖国神社を戦争を主導した中枢と主張することによって、そこへ首相が参拝することが軍国主義への入り口になるとの主張を被害国の立場の現在の中国人に主張させ日本を貶めているのである。