自民党の萩生田光一官房副長官は小池氏の出馬表明に対して、
「東京都連執行部に何ら相談もなく出馬の意思を表明することにやや違和感がある」
「正直ビックリしております」
と疑念を呈した。
萩生田氏は文化芸術懇話会、女系天皇を容認する皇室典範の改正に反対、拉致問題に積極的に取り組み、日本会議国会議員懇談会の事務局長、神道政治連盟国会議員懇談会にも所属する安倍総理の懐刀と言っても良いブレーンの一人でド保守である。
"政界の渡り鳥"とも言われ、保守でもある小池氏は自民党から公認・推薦が得られなかった場合について、「これからの情勢を見極めながら決めていきたいと思います」とし、その上で、「党のしかるべき方にご相談をした。いろいろな方々とご相談したいと思います」と述べている。
しかるべき方とはおそらく、石破茂議員である可能性が高い。小池氏は所属していた「町村派」を退会して、石破 茂幹事長に近い議員が主宰する「無派閥連絡会」(事実上の石破派)に参加しているからである。
荻生田氏の言う"違和感"は党内の保守派で渡り鳥とも言われる小池氏が過敏に"巣立ち"したのか?
つまり参院選を前に首相ではなく、石破氏へ相談した事が事実であれば党内保守派、安倍政権にとっては只事では無い"違和感"となるからだ。
第2次安倍改造内閣発足に先立ち、安倍氏は石破氏に対し、新設する安全保障法制担当大臣への就任を打診していたが、石破氏はラジオ番組に出演し、安全保障法制担当相への就任を辞退する意向を表明した。幹事長の立場である者が内閣の内情をラジオで公言したことは安倍総理にしてみれば裏切りにも近い"違和感"だろう。
石破氏も 日本会議国会議員懇談会(副会長)と
神道政治連盟国会議員懇談会であり、一応は保守であるが水月会(石破派)の発足は違和感を更に加速させ、安倍政権にとっては目の上のたんこぶであろう。
石破茂ブログより抜粋----------------------
『靖国神社を建立した際の日本政府の国民に対する約束は、「いかなる人であっても戦争で散華した人は靖国神社に祀られる」「天皇陛下が必ずご親拝下さる」という二点であったはずです。
第一の約束は概ね果たされてはいても、第二については所謂A級戦犯が合祀されて以来、果たされていない状況が続いています。この状況をいかに打開するかが我々政治家の本質的な使命なのであって、参拝するか否かは政治家個人個人の判断に任せ、この問題に真剣に思いを致す必要があると考えます。』
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石破氏の靖国観はいたって普通であり、歴代首相で言えば中曽根氏と似ているように感じる。
しかし、同じ保守派と言っても靖国に参拝しない保守は俄かには信じられない。
これが安倍政権に潜む内乱に発展するのかまではまだ定かではないが、一般的歴史認識と政治上の歴史認識の乖離を考慮して考えれば二つの可能性が考えられる。
ひとつは単純に石破派の首相の座を視野に入れた反乱への違和感であり、もうひとつは党内野党と言われる親中派勢力に対して安倍首相の靖国神社不参拝派への歴史認識の整合性を図るための石破氏を使った策略が考えられる。
この"違和感"の表現が意図的であるかないかは、参院選の結果が出てからの石破氏の動きで判明するが、ストレートに石破氏が総裁候補に立候補するような事になれば小池氏の渡り鳥としての本能は本物である事が証明されるだろう。
余談であるが渡り鳥には冬鳥と夏鳥とがあるらしい。越冬の為に日本に来るか日本から南国に行くかの違いらしい。石破氏の反乱か石破氏を利用した安倍首相の策略かはどうやら"渡り鳥"だけが知っているようだ。