モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

クローブピンク(Clove Pink)の花

2009-06-13 12:20:04 | その他のハーブ
(写真)クローブピンクの花


まるでカーネーションのようだが厳密にはカーネーションではない。
「クローブピンク」というれっきとしたハーブで、園芸品種カーネーションの親にあたる。子は親に似るが、今ではカーネーションのほうが知られているので、親が子に似ると思ってしまいそうだ。

そして、「クローブピンク」は、いまでは、宿根・四季咲き性、ピンクから白の一重や八重咲きなど様々な品種の総称となっていて、“ピンク”は色を表わしていないというから驚きだ。
諸説あるがどうも、オランダ語の“ウインクしている目”という意味の“pink-oog”から来ているという。確かに一重のクローブピンクは、その花模様が“化粧した目”のようでもある。

和名の「ニオイナデシコ」も「クローブピンク」の仲間であり、学名は、「クローブピンク」 「ニオイナデシコ」 「カーネーション」とも同じで、Dianthus caryophyllus L.となるのでちょっとややこしい。

            

クローブピンク、カーネーションの由来
「クローブピンク」の名前の由来だが、かなりはっきりした甘い香りがしこの香りが「クローブ」に似ているので名付けられ、“ピンク”はナデシコを意味しているので、ナデシコ属(Dianthus)全てを指したようだ。

「クローブピンク」の前は、「丁字花(ジリーフラワーGilli Flower)」と呼ばれていて“丁字”を表わすアラビア語(クワランフルquaranful)に由来し、伝播のルートのイタリア、フランス語から変化して「ジリーフラワーGilli Flower」になった。

大本の「クローブ」は、和名では、“丁子(ちょうじ)”“丁香(ちょうこう)”とよばれ、インドネシアのモルッカ諸島が原産地で、大航海時代のポルトガルが独占した金よりも価値があった香辛料だが、その原料になる花のつぼみが“釘”に似ているので、中国語では“丁”英語では、“Clove”と名付けられた。

この園芸品種「カーネーション」の原種である「クローブピンク」の栽培の歴史は2000年以上と長いが、原産地がヨーロッパ南部以外良くわからない。
紀元1世紀に『博物誌』を書いたプリニウス(22-79)は、クローブピンクは、同時代のローマ皇帝である“アウグストゥスの治世にスペインで見つけられた。”と書いている。スペイン、フランス南部が原産地なのだろう。

この花は、この頃から飲み物にスパイシーな風味をつけるために使われたり、スープやソースにも利用されたので、「Sops in Wine(ワインに浸すパン)」という別名があるほどのポピュラーな使われ方がされてきた。

15世紀頃から園芸品種の開発が進み、「カーネーション」が初めて文献に出たのは英国植物学の父といわれるターナー(William Turner1508-1568)の本草書であり1538年のことだった。

園芸品種開発は、17世紀にはオランダがその中心となり、日本には徳川家光の正保年間(1644-1647)というのと1665年頃という説があるがどちらにしてもオランダを通じて入ってきたので「オランダセキチク」と呼ばれた。

その後の開発は著しく、フランスで温室系のパーペチュアル系が1840年にダルメイス(M.Dalmais)によって作出され、1857年には四季咲き性のマルメゾン系がフランスで誕生した。
カーネーションは切花として世界で愛されている花であり、アメリカで開発された温室栽培が中心となってようだが、“母の日”にカーネーションを贈るという行事がこの花の人気を支えている。ちなみに母の日を最初に制定したのはアメリカであり、1914年に“5月の第二日曜日を母の日”として議決した。

いまでは背広の襟にカーネーションを挿したりしているが、この花言葉は、「私のあわれな心にどうぞ」という慈悲を乞う願いであることを知っている人しか挿さないと思いたいが、どうもそうでもないようなので敬して遠ざける目印としておきたい。

(写真)クローブピンクの立ち姿
                

クローブピンク(Clove Pink)
・ナデシコ科ナデシコ属の半耐寒性がある多年草。ナデシコ属は、北半球の温帯域を中心に約300種が分布する。
・学名は,Dianthus caryophyllus L.(ダイアンサス・カリオフィルス)。属名のDianthusは、“神の花”を意味するギリシャ語に由来し、種小名のcaryophyllusは、“クローブに似た葉=香り”を意味する。
・英名がクローブピンク、ジリーフラワー(Gilli Flower)。和名はオランダセキチク、ジャコウセキチク(麝香石竹)。
・カーネーションの原種の一種。
・原産地はヨーロッパ南部、インド。
・クローブピンクは、四季咲き性でピンクから白の一重や八重咲きなど様々な品種の総称。最も古い園芸品種の一つ。
・草丈40~60cm
・過湿を嫌うので排水性の良い土と日当たりの良い場所で育てる。
・花が咲いた後半分に切り戻す。
・夏場は半日陰で風通しの良いところで育てる。
・冬場は、ある程度の耐寒性があるが根元を腐葉土などでマルチングする。


・コレクター
Heine, Hermann Heino (1922-1996) 南アフリカの植物学者、1959年にフランスで採取。

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