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肉食の系譜
カルノタウルス1
昔はアベリサウルス科で四肢を含む全身骨格が発掘されているのは、ほぼカルノタウルスだけであったが、最近になってマジュンガトルスやラジャサウルスなどの四肢の骨が発見されてきたということらしい。アベリサウルス類の復元図はカルノタウルスの全身骨格に基づいて推測されてきた。もしカルノタウルスの体型が訂正を要するならば、他のアベリサウルス類の復元にも大きく影響してくる。
確かにカルノタウルスの前肢は、全体の長さも短いが、特に前腕の骨、つまり撓骨・尺骨が極端に短く、上腕骨に対する撓骨・尺骨の比率が著しく小さくなっている。発生過程で前肢のパターン形成に関わる遺伝子の変異が、後肢のパターン形成にも共通して関わるものであれば、後肢の大腿骨に対する脛骨・腓骨の比率が非常に小さくなる可能性はある。つまりアベリサウルス類では他の獣脚類に比べて、大腿骨の長さのわりには、膝から下の脛骨・腓骨が短いのかもしれない。しかし前肢の短縮において生じたパターン形成の異常(変異)は、前肢に特異的なもので後肢には影響しなかったのかもしれない。近縁の種類の形態から推定するのが常套手段ではあるが、アベリサウルス類すべてが同じ傾向を示したかどうかもわからない。結局はカルノタウルス自身の、より保存のよい後肢の化石が発見されるのを待たなければならないだろう。
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