goo

恐竜王国2012 内覧会 その2

ユーティランヌスは、企画途中で論文が発表されたため急遽追加されたようで、日中国交40周年のおかげか、特別に便宜を供与されたもののようです。こんな最新の貴重な標本を、この夏に見ることができるのは大変ありがたいことです。恐竜ファンとして関係者のご尽力に感謝します。

ユーティランヌスの実物化石は、当然ながら素晴らしい。実物なので台上に置くしかなく、真上から観察・撮影できないのは残念であるが、仕方ない。全体像はとらえにくいが要所要所は観察できる。(図録には全体像の写真がある。)
 文献ではとさかの形状が今一つ把握できなかったが、実物を観察して理解した。亜成体の方は本当に微妙のようだ。一方、後眼窩骨の形は角度的に観察が難しく、十分確認できなかった。



このように、少なくともティラノサウルスとは異なり、アロサウルスに近い体型の動物であることは示されている。ただし、この全身復元骨格には問題がある。個々の骨が完全にクリーニングされていない状態なので、キャストというよりも参考モデルということだろう。それにしても、この復元骨格はあまり参考にならない。
 頭骨のユーティランヌスの特徴のうち、とさかはともかく、重要な後眼窩骨の特徴が全くなく、2体ともつるんとしている。涙骨の突起がこんなに丸いのも論文の図とは異なる。さらに一見して気づくのは、下顎の外側下顎窓らしい孔が、妙に大きく丸いことである。実物化石で亜成体の下顎は観察できるが、どう見てもこんな形には見えない。
 また、腰帯の腸骨の向きが、前後逆にみえる。(論文のSupplementary information のFigure S2に、亜成体の腰帯の写真がある。)




コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )