12月になった。今年もクリスマスがやってくる。そんな頃になると、我が家ではいつもある1冊の本を取り出す。「いつもサンタが」という、小さな絵本だ。
2003年の12月初旬、妻のお供で大阪の阪急梅田店に、買い物に出かけたのだが、その時、この本の展示即売会を兼ねたささやかな/展覧会が行われていた。買い物のついでに、冷やかし半分で寄ってみたのだが、展示されている作品を見ているうちにどうしても欲しくなったのか、妻が絵本とカレンダーの両方とも買うと言い出したのだ。2冊で4000円ほどであったが、思わぬ予定外の出費に、僕はブツブツと文句を言っていた。そんな僕を尻目に、妻は素知らぬ顔で意中の2冊を持ち、レジの方に向かっていった。
見ると、レジには、赤いサンタの衣装を着た、メガネをかけた長身細身の初老の男性がいて、にこやかに妻を迎え入れていた。そして何か二言三言言葉を交わし、絵本にサインをして、妻に手渡していた。その時、妻はもう一度手を差し出し、握手を交わしていた。それから、所在無さげに一人で立っている僕の方に向けて、その男性はにこやかな笑顔で軽い会釈をくれた。どうやら、絵本の作者らしい。
そのあと、あのレジのところで何を話したのか、妻に聞いてみると、「少し早いですけどメリー・クリスマス、良いクリスマスを・・・・」と言われたそうだ。「大きくて、温かい手だったよ」と、妻は嬉しそうに言った。本を開けて見てみると、銀色のフェルトペンで、日付とご自身のサインが走り書きしてあり、妻の名前が、漢字で丁寧に書かれていた。その作者の名前は、小出真巳<コイデ・マサキ>。サンタ・クロースを主題とした、ほのぼのとした、そしてヒューマンな作品で国際的にも有名な画家である。
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小出真巳氏は、数年前に亡くなられたそうだ。今回このブログを書くにあたり、いろいろ。調べた折に初めて知った。ささやかな触れ合いだったけれど、あの時の優しい笑顔は、この絵本を開けるたびに、いつも思い出します。ご冥福を、お祈りします。
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画像は、全て2004年小出真巳カレンダーより出典
2003年の12月初旬、妻のお供で大阪の阪急梅田店に、買い物に出かけたのだが、その時、この本の展示即売会を兼ねたささやかな/展覧会が行われていた。買い物のついでに、冷やかし半分で寄ってみたのだが、展示されている作品を見ているうちにどうしても欲しくなったのか、妻が絵本とカレンダーの両方とも買うと言い出したのだ。2冊で4000円ほどであったが、思わぬ予定外の出費に、僕はブツブツと文句を言っていた。そんな僕を尻目に、妻は素知らぬ顔で意中の2冊を持ち、レジの方に向かっていった。
見ると、レジには、赤いサンタの衣装を着た、メガネをかけた長身細身の初老の男性がいて、にこやかに妻を迎え入れていた。そして何か二言三言言葉を交わし、絵本にサインをして、妻に手渡していた。その時、妻はもう一度手を差し出し、握手を交わしていた。それから、所在無さげに一人で立っている僕の方に向けて、その男性はにこやかな笑顔で軽い会釈をくれた。どうやら、絵本の作者らしい。
そのあと、あのレジのところで何を話したのか、妻に聞いてみると、「少し早いですけどメリー・クリスマス、良いクリスマスを・・・・」と言われたそうだ。「大きくて、温かい手だったよ」と、妻は嬉しそうに言った。本を開けて見てみると、銀色のフェルトペンで、日付とご自身のサインが走り書きしてあり、妻の名前が、漢字で丁寧に書かれていた。その作者の名前は、小出真巳<コイデ・マサキ>。サンタ・クロースを主題とした、ほのぼのとした、そしてヒューマンな作品で国際的にも有名な画家である。
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小出真巳氏は、数年前に亡くなられたそうだ。今回このブログを書くにあたり、いろいろ。調べた折に初めて知った。ささやかな触れ合いだったけれど、あの時の優しい笑顔は、この絵本を開けるたびに、いつも思い出します。ご冥福を、お祈りします。
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