小さな栗の木の下で

保護犬のミニチュア・ダックスを引き取り、
小型犬との暮らしは初めて!という生活の中で、感じたことを徒然に…。

See You! ピエロさん&トニー

2008-03-27 | 犬&猫との暮らし
 ピエロさんは、和光市にある理化学研究所で遺伝子の研究をしているイタリアの人です。ゴールデンのトニーは2歳。同じ河川敷お散歩犬仲間。
 ピエロさんがトリエステの出身だということで、トリエステのことをたびたび題材にしていた須賀敦子さんの随筆が大好きな私は、なんとなく親近感を覚え、時間のある朝はよくピエロさんと立ち話をしたものでした。
 
 ピエロさんは3キロのダンベルを両手に持ち、トニーのフレキシリードをウエストバッグに結わえつけ、自宅(どこかは正確に知りませんが)から走って河川敷にやってきます。雨の日も雪の日も、カンカン照りの真夏も北風が身にしむ真冬の朝も、毎日トレーニングを兼ねた散歩を欠かせませんでした。

 ピエロさんは日本語が上手で、ウィットに富んでいて、ひと当たりも抜群によく、こんなに気持ちのよい人はなかなかいないであろうと思われる「いい人」です。同じ研究所に勤めていた日本人の奥さんも、理知的で落ち着いた感じの美人さんで、それはそれはお似合いの二人でした。
 トニーは、犬はちょっと苦手のようですが、人間にはたいそうフレンドリーで、遠くに見える人にさえ、挨拶しに走り寄らなければ気が済みません。

 なので、トニーがもう少し幼い頃は、人に向かって突っ走るトニーを、
 「トォーニィー!」
 と絶叫しながら追いかけるピエロさんの姿を、朝の河川敷でよく見かけたものでした。ピエロさんにとって、あのダッシュが一番ハードなトレーニングだったのではないでしょうか。

 「ノォォォォォッーーー!」 
 と大きな声が聞こえたら、それもピエロさん。トニーがはしゃいで飛びついて、フレキシリードを噛んだりすると、こちらがスカッとするくらい思い切りトニーをいさめるのでした。

 でも、ピエロさんは心からトニーを可愛がっており、トニーもピエロさんが大好き。
 昨年の秋、サッカーで無理をし、ピエロさんの左足首にヒビが入り、松葉杖生活を余儀なくされていました。にもかかわらず、ピエロさんは松葉杖を突きつつ、トニーを連れてトレーニングにやって来たので、あれにはたまげてしまいました。
 そこで、私がトニーを散歩させてあげようとしましたが、トニーはピエロさんのそばを離れようとはしませんでした。

 ピエロさんはうちの犬たちに会うと、
「みなさん、元気ですか」
 と言って、よくなでてくれました。毎朝のように気持ちのよい会話を交わし、ときに冗談を言い合って笑ったりしていましたが、この4月からピエロさんは、理化研の横浜の研究所に転勤になり、明日引越すのだそうです。
 毎日会っていた河川敷仲間が減り、フサフサのトニーのぬくもりと、ピエロさんの「ノーッ!」が聞けなくなると思うと、少し淋しいです。

 ピエロさん&トニー、心なごむ時間をありがとう。See You Again! 
コメント
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