令和2年3月18日付け「北海道新聞」の卓上四季欄に、以下の記事が載っていた。
『仲間と2人で悪事を働いた男が、山分けした金を元手に商売を始めた。事業が軌道に乗り、社会的地位を築くと、過去の犯罪をおびえるようになる。自分の成功を聞きつけた共犯者がゆすりに来ないか。悩んだ末。相手の消息を調べるのだが・・・。
松本清張の短編「共犯者」は、疑心暗鬼から身を滅ぼす男を描いた。共犯者はいつしか脅迫者に変わっていく━━。
推理小説では、おなじみの展開だ。関西電力役員らの金品受領問題を調べた第三者委員会の報告書は、福井県高浜町の元助役を、原発の不透明な地元対策を利用し、次第に共犯関係の泥沼にはまる過程を明らかにした。元助役は金品を送り、見返りに関係する企業への発注を要求する。
関電側は、弱みを握られた顔役に対し、金品をきっぱり返せない。受け取ってしまったことで、泥沼からもはや抜け出せなくなる。共犯者は脅迫者になりやがて制御不能な「モンスター」に変貌した。
ところが、事実は小説よりもえげつない。関電役員の中には、もと助役の金品にかけられた税金を会社に肩代わりしてもらった者もいる。多数の役員が赤字でカットしていたはずの報酬を、後でこっそり受けとっていたことも分かった。
あたかもモンスターの被害者のような顔をして、会社を私物化し、むさぼり食う。強欲な怪物ぶりは五十歩百歩だろう。元をたどれば、これらは全て電気料金である。』
この記事を読んで、すぐに森友事件を思い出した。森友事件では、元国税庁長官佐川宣寿氏が、文書捏造について「文書の捏造はなかった」と証言した。
しかし、近畿財務局の職員であった赤木俊夫氏(享年54歳)が、この公文書の捏造について、「命、大切な命、何という無責任な組織だ」という遺書を残して天国に旅立っている。何という悲しい事件だろう。こんな組織にいなくて本当に良かったと思っている。
「十勝の活性化を考える会」会員
注) 怪物(モンスター)
1 正体のわからない、不気味な生き物。
2 性質・行動・力量などが人並外れた人物。「政界の怪物」
(出典:コトババンク)