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北海道十勝の深掘り 畜酪対策ヤマ場

2021-12-30 05:00:00 | 投稿

北海道十勝の深掘り 畜酪対策ヤマ場

全国の読者の皆様に、「北海道十勝ってどんなところ?」の疑問に深掘りしてお伝えしてまいります。


『日本農業新聞は以下のように報じました』

 

畜酪対策ヤマ場、現場は今 生産コスト高騰 霧中の苦闘

酪農→生産調整に懸命

 2022年度の畜産・酪農政策を巡る政府・与党の協議がヤマ場を迎える。生産現場は飼料費をはじめとするコスト増に悩む。酪農では生乳の需給緩和対策、肥育では相場の不安定化も課題だ。

 北海道大樹町の農事組合法人コスモアグリは、搾乳牛990頭から年間1万1200トンの生乳を生産する。需給緩和を受けた生産調整や物財費高騰のあおりを受けており、代表の田中伸一さん(56)は「(加工原料乳生産者)補給金などの総単価が据え置きになったとしても、経営への影響は相当なものになる」と吐露した。

 年末年始や来年度からの全道的な生産調整に協力して牛の淘汰(とうた)などを進める。同法人の1日当たりの乳量は33トン。田中さんは「日量を30トンまで減らさないと、JAごとに定める生産調整の目標数量を上回る。協力していくが今後売り上げは1億円ほど減るだろう」とみる。

 配合飼料をはじめ物財費の高騰も重い。同法人では140ヘクタールでジャガイモやテンサイ、小麦なども生産。家畜ふん尿などの輸送だけでも、ダンプを1日に200~500キロ走行させる。燃料代などの高騰も「ばかにならない」という。

 大樹町では30年ほど前から同様の大型酪農法人が現れ始め、複数の法人が地域の拠点として離農跡地を集積するなどして地域を守ってきた。田中さんは「正直言って不安。(補給金などの)単価は、現行水準以上を貫いてほしい」と要望する。

 北海道の酪農家からは生産調整や燃料・飼料高騰を受け、加工原料乳生産者補給金と集送乳調整金を合わせた単価水準について、現行(1キロ当たり10・85円)以上を望む声が上がる。

肥育→相場変動激しく

 「経営の見通しが立たない」。宮崎県三股町の和牛肥育農家・松山龍二さん(45)が頭を悩ませるのが、飼料価格の高騰と新型コロナウイルス禍で不安定化する枝肉相場だ。


 配合飼料価格は昨年末に比べ1トン当たり1万円程度上昇。配合飼料価格安定制度による補填(ほてん)もあるが、松山さんは「(飼料高騰で)肥育にかかるコストは1頭当たり2割程度上がった」と実感する。100頭を飼養するが、飼料代は月約100万円に上り、経営を圧迫する。

 一方で、枝肉相場は変動が激しい。最近こそ上向いているが、一時は1キロ当たり約2500円(格付けA5等級の平均)まで下落。「1カ月で30万円利益の幅が出ている」という。 経費削減のため、敷料の交換時期は、2週間から3週間置きに延ばした。自身の作業量を増やし、雇用の人件費も抑える。副業の削蹄(さくてい)の仕事で何とか収入を確保するが「今後どうなるか分からない。かつてなく不安な状況だ」と打ち明ける。

 地域では近年、退職後に家業の畜産を継ぐ農家が増えた。だが、50代以上の新規就農への支援は少なく、増頭や機械の導入も難しいのが実情だ。松山さんは「大切な新規就農者なのに、こうした不安定な状況では、短期で経営をたたむことになりかねない。支援拡充が急務だ」と訴える。

 

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