昨日からの雨で梅雨本格といった感じの浜松です。やっと金曜日になりました。休校があけて、なぜか以前よりも金曜日・・・というか、土曜日が恋しくなってるような気がします。
さて、前回より、「学校にはコスト意識がない」と言われるのがどうしてかを扱っています。今日は少し違った、コスト意識について話してみましょう。
多くの生徒が楽しみにする修学旅行。中学の京都奈良の研修、だいたい2泊3日で一人5万円くらいでしょうか?今はどうなんでしょう。まあ、内容は本当に盛り沢山で充実した体験、見学地、今はホテルもいいホテルで、ほんと充実しています。しかしちょっと別の観点で見てみます。修学旅行では交通機関の予約やホテルの予約、体験先の予約などは、旅行業者を通じて行います。全国にある有名な業者から地元の業者まで様々なのですが、業者の観点から考えたいと思います。
例えば、浜松市は遠州灘(太平洋)沿岸から長野県境まで、本当に広いです。車で移動すると3時間くらいかかります。しかし、そういった地域にも当然学校があります。また、そういった地域は児童生徒の数も少ないです。これは、学校の統廃合の一つの理由だと思うのですが、学校行事や授業がうまくできないのです。
コスト意識、業者の観点で考えてのことなのですが、ズバリ、「こんな少ない人数でこれだけのサービスでは割りに合わない、しかも、入札でより安くとか言われるし、そんな入札、落とすなよ」というのが業者の本音でしょう。例えば、授業で絵を書くことになった。スケッチブックを生徒分購入したいとなっても、市内であれば200冊、ドーンと配達して、「マイどー!」と景気のいい話なのですが、山間部では2冊を片道2時間半かけて配達に行く。「宅配便にしてくれよー!」「アマゾンで買ってくれー」って業者は言いたいでしょう。半日つぶれてしかも学校販売は儲けが少ない設定でスケッチブック2冊の売り上げなんて、そりゃGDP下がるわな。
学校の先生というのはそもそも給料が一定ですので、100人相手でも1人相手でも同じです。それがいいところでもあり、どんな環境でも質の高い、親身な指導、誰もが同じように指導が受けられる公教育の恩恵を受けられるのです。したがって、1人でもいれば校長先生、教頭先生、そして9教科の先生が配置されますので、一人で公務員11人です。ざっくり平均年収500万で計算しても、顧客一人に対して5500万円の人件費なんて、それこそ民間企業だったらその支店は撤退でしょう。ゆえにそういうところに税金を投入すればいいとなるわけで、私学や量販店は田舎にはできないのですが、その発想は学校にはないので、学校に関わる業者はその狭間で苦しいのだと思います。
それでも子供たちにとっては一生の思い出になる修学旅行、毎日の楽しい授業、「今日は学校でザリガニの絵を描いたよー」と力いっぱい画用紙に描かれた作品を掲示してそれを眺めるキラキラした顔。こんな景色はこういった苦労をなんとかして解決している学校現場の努力の成果なのです。