北海道防災会議地震専門委員会のワーキンググループ(WG)は想定する地震の規模をマグニチュード9.1に設定した。北海道周辺で最大規模とされてきた500年間隔地震のM8.6や東日本大震災のM9.0を上回る。政府の「最大級の津波を想定して津波対策を推進する」との方針を踏襲、WGは過去の津波の痕跡である津波堆積物調査など、ここ数年の科学的知見に基づいて見直した。
500年間隔地震の震源域は従来、釧路・根室沖と十勝沖が同時に震源となる2連動とされてきたが、WGは議論の中で「十勝沖を重視しており、釧路・根室沖が過小評価だった。日高以西との関連も説明できていない」と指摘。新たな地震想定は、三陸沖北部もふくめた3連動のような形になるもようだ。(以上要点のみ)
■「南海トラフ」最大級地震の想定公表 (2012.4.1 日経新聞)
「津波20メートル超 6都県」「震度7、10県に拡大」などの見出しが日経新聞だけでなくおそらく全ての新聞の一面に躍った。これは内閣府の有識者検討会が3月31日、東海、東南海、南海地震を起こす「南海トラフ」で、これらの想定震源域が連動し最大級の地震が起きた場合の津波高と震度分布の推計の記事である。記事は自治体や企業は防災計画の見直しを迫られそうだ、としている。
検討会は東日本大震災の教訓をふまえ、想定を「数百年に一度」の地震から「千年に一度起こりえる最大級」に変更した。想定震源域を従来の約2倍に拡大し、震度はマグニチュード9.0、津波は9.1と想定。15パターンの地震について地点毎に最大の震度や津波高を推計した。(以上、カラー図スペースをふくめ本文記事の約1/10を引用)
以上二つの記事から深刻に受けとめなければならない大きな問題は、東日本大震災の防災復興計画中の、現行の、国や各自治体の防災計画が直ちに見直されなければならないという点である。北海道や西日本で、その後に急激に高まっている防災意識がある。岩手県や宮古市はこれまで国の防災計画を無批判的に踏襲し、頻度の高い百年前後に想定される津波、あるいは二番目に大きい津波を津波防災の対象としてきた。そのために仮説にすぎないシミュレーションを何度も書きかえ、また書かれたものや言動のつじつま破綻を頻発してきた。
岩手県や宮古市による地震や津波のパターンは、例えば、宮古湾においてさえワンパターンで(明治29年津波とする)、それも考え方としては津波の「高さ」だけを問題にしてきた。(跛行性や破壊力などは完全に無視されている。高さそのものの評価だってあやしい。…後述)。防潮堤や水門の高さを一律10.4mにするという計画はこれまでも支持されていないが、ここにきて根底的に見直されなければならないであろう。
わがブログもここにきて国家エゴに先を越された感があるが、百年級から千年級への転向は、今後さまざまな反動、また見直しの見直しがついて回る。最終的には被災想定住民の健全な判断ということになるのか…