
昨日スカパーで”Jスポーツステークス”という”世界の競馬”の再放送的な番組?をぼんやりと見ていたら、解説でおなじみ合田直弘氏が、世界の競馬場の最新ダート馬場事情を語っていました。
誰もが御存知だとは思いますが、今現在の世界の競馬の高額賞金レースと言えば、ブリーダーズカップをはじめドバイワールドカップなど、ダートレースが主流となっています。
諸事情からヨーロッパの格の高いレースの賞金が頭打ちであることにより、より強い馬は必然的に賞金の高いレースを目指すようになるでしょうし、また世界のホースマンもそれにあった馬作りをするようになることは自然な流れでしょうから、そう考えればこれからの競馬の世界的な流れは、”ダート競馬”になってくるのかも知れません。
そういえば、以前大井競馬場で購入した山野浩一著「アーバンダート百科」(国書刊行会)にも、そんなようなことが書いてあったような気がします。
そんな流れの中、ダート競馬の本場アメリカの主要競馬場では、次々と”全天候型ダート”に替わってきているとのこと。
これまでもダート競馬の先進国アメリカでは、パワーが要求される粒状の”砂馬場”から、よりスピードが出るパウダー状の”ダート”、さらに”ダート”からより雨などに影響されない進んだ”テクノ馬場”と呼ばれるものに進化していることは聞いていました。
世界中から強い馬を呼んで、そして世界のホースマンの注目を集めるような大きなレースを開催するには、それが必要であったのでしょう。
そして今年、アメリカの主要競馬場ではさらに進化した”全天候型トラック”の導入を次々と進めているとのことなのです!
この”全天候型トラック”は、とても管理がしやすく維持経費も少なくて済むという利点に加えて、さらに衝撃的な事実が・・・・・!
それは、非常にスピード重視の馬場であるということです。
ようは、現状の概念で言われている”芝適性のある馬”のほうが断然有利な馬場ということなのです。
それは”人工芝”と呼んだほうが的確な表現なのかも知れません。
これはどういうことなのかと言うと、これからはパワー重視、スタミナ重視の”ダート馬”が淘汰されていく時代が来るかも知れない、ということなのではないでしょうか?
しかし、「競馬の進化」という観点から考えれば、これは自然な流れなのかも知れません。
歴史上、人間の進化は、同時にテクノロジーの進化とも言えます。
より効率的に、より公平に、そしてより速さを求めるという競走の原点に近づこうとするとき、(たとえ他のどんなスポーツにしてもそうであるように)道具や環境などのテクノロジーの進化は必須条件となっています。
競馬が、より多くの人々に受け入れられ愛されていくために、また主催者がより効率的に多くの収益を上げるために、もう”ハイテクノロジー馬場”の流れは逆戻りすることは考えづらいことでしょう。
日本でも、大井競馬場では、馬場担当者がサンタアニタに研修に行き、新しい本格的ダートコースの開発に取り組んでいるとのことです。
世界では、まず馬ありき。そこに競馬ありき。そこに環境があって、それに見合った競走が行われ、文化や歴史を作ってきています。
ヨーロッパではヨーロッパの、アメリカではアメリカの文化があり、それに適応した競馬が作られ、そしてテクノロジーの進化によりそれはいつしか、より効率的で優れたものに統合されていく。
そういった流れは、ごく自然です。
では、日本ではどうでしょうか?
はじめからヨーロッパやアメリカを真似て始まった競馬です。
戦前から公認競馬であった中央競馬はヨーロッパ、軍馬資源の保護のために道府県単位で始まった地方競馬はアメリカを、それぞれモデルとして異なったところで発展してきたという経緯があります。
それにより、「中央競馬」と「地方競馬」という、ふたつの日本の競馬文化を作り上げてしまいました。
そしていまや、規模も収益もアンバランスに片側に大きく傾いているのが実情です。
最近は、衰退する日本の馬の生産界を盛り上げるべく、またその片側(地方競馬)を救うべく、両者の交流もさかんに行われるようになりました。
そしてさらに今では、中央競馬は”芝競馬”の、地方競馬は”ダート競馬”の、それぞれ頂点であるということを広く世間に示すことによって、それぞれのアイデンティティーを保っていると言えるのではないでしょうか。
それはこれら”芝”、”ダート”というふたつの馬場が、それぞれ異なった特徴を持っており、馬に異なった能力を要求することによって成り立っていることなのです。
そんな日本の流れのなかで、世界的なダートの”全天候型トラック”への移行という大きな流れ・・・・・。
それはまさに、日本の地方競馬のアイデンティティーを根底から揺るがすことになるような気がします。
もし地方交流競走で、中央の芝適性の馬がダート(全天候型トラック)をどんどんスピードにまかせて走り始めたらどうなるでしょう?
また逆に、日本の生産地でどんどんダート適性のある血統の馬産が行われなくなることも考えられます。
そうなると、全天候型トラックを導入できない競馬場は、日本の競馬サークルから取り残され、どんどん走る馬がいなくなってしまう可能性もあるのではないでしょうか?
そしてますますグローバル化されていく競馬ファンからも取り残されて、やがては消えていく運命になる・・・・・。
そんなことも十分に予想できます。
画面に映し出される”世界の競馬”をぼんやりと見ながら、最近の北海道の”ばんえい競馬”の廃止への流れにまつわるニュースや、アラブのメッカ”福山競馬”の前向きな取り組みなどを思い出していました。
この合田直弘氏の”全天候型トラック”の話題は、番組の中のレースよりも私の気になるところでありましたので・・・・・。
それでは、また。
誰もが御存知だとは思いますが、今現在の世界の競馬の高額賞金レースと言えば、ブリーダーズカップをはじめドバイワールドカップなど、ダートレースが主流となっています。
諸事情からヨーロッパの格の高いレースの賞金が頭打ちであることにより、より強い馬は必然的に賞金の高いレースを目指すようになるでしょうし、また世界のホースマンもそれにあった馬作りをするようになることは自然な流れでしょうから、そう考えればこれからの競馬の世界的な流れは、”ダート競馬”になってくるのかも知れません。
そういえば、以前大井競馬場で購入した山野浩一著「アーバンダート百科」(国書刊行会)にも、そんなようなことが書いてあったような気がします。
そんな流れの中、ダート競馬の本場アメリカの主要競馬場では、次々と”全天候型ダート”に替わってきているとのこと。
これまでもダート競馬の先進国アメリカでは、パワーが要求される粒状の”砂馬場”から、よりスピードが出るパウダー状の”ダート”、さらに”ダート”からより雨などに影響されない進んだ”テクノ馬場”と呼ばれるものに進化していることは聞いていました。
世界中から強い馬を呼んで、そして世界のホースマンの注目を集めるような大きなレースを開催するには、それが必要であったのでしょう。
そして今年、アメリカの主要競馬場ではさらに進化した”全天候型トラック”の導入を次々と進めているとのことなのです!
この”全天候型トラック”は、とても管理がしやすく維持経費も少なくて済むという利点に加えて、さらに衝撃的な事実が・・・・・!
それは、非常にスピード重視の馬場であるということです。
ようは、現状の概念で言われている”芝適性のある馬”のほうが断然有利な馬場ということなのです。
それは”人工芝”と呼んだほうが的確な表現なのかも知れません。
これはどういうことなのかと言うと、これからはパワー重視、スタミナ重視の”ダート馬”が淘汰されていく時代が来るかも知れない、ということなのではないでしょうか?
しかし、「競馬の進化」という観点から考えれば、これは自然な流れなのかも知れません。
歴史上、人間の進化は、同時にテクノロジーの進化とも言えます。
より効率的に、より公平に、そしてより速さを求めるという競走の原点に近づこうとするとき、(たとえ他のどんなスポーツにしてもそうであるように)道具や環境などのテクノロジーの進化は必須条件となっています。
競馬が、より多くの人々に受け入れられ愛されていくために、また主催者がより効率的に多くの収益を上げるために、もう”ハイテクノロジー馬場”の流れは逆戻りすることは考えづらいことでしょう。
日本でも、大井競馬場では、馬場担当者がサンタアニタに研修に行き、新しい本格的ダートコースの開発に取り組んでいるとのことです。
世界では、まず馬ありき。そこに競馬ありき。そこに環境があって、それに見合った競走が行われ、文化や歴史を作ってきています。
ヨーロッパではヨーロッパの、アメリカではアメリカの文化があり、それに適応した競馬が作られ、そしてテクノロジーの進化によりそれはいつしか、より効率的で優れたものに統合されていく。
そういった流れは、ごく自然です。
では、日本ではどうでしょうか?
はじめからヨーロッパやアメリカを真似て始まった競馬です。
戦前から公認競馬であった中央競馬はヨーロッパ、軍馬資源の保護のために道府県単位で始まった地方競馬はアメリカを、それぞれモデルとして異なったところで発展してきたという経緯があります。
それにより、「中央競馬」と「地方競馬」という、ふたつの日本の競馬文化を作り上げてしまいました。
そしていまや、規模も収益もアンバランスに片側に大きく傾いているのが実情です。
最近は、衰退する日本の馬の生産界を盛り上げるべく、またその片側(地方競馬)を救うべく、両者の交流もさかんに行われるようになりました。
そしてさらに今では、中央競馬は”芝競馬”の、地方競馬は”ダート競馬”の、それぞれ頂点であるということを広く世間に示すことによって、それぞれのアイデンティティーを保っていると言えるのではないでしょうか。
それはこれら”芝”、”ダート”というふたつの馬場が、それぞれ異なった特徴を持っており、馬に異なった能力を要求することによって成り立っていることなのです。
そんな日本の流れのなかで、世界的なダートの”全天候型トラック”への移行という大きな流れ・・・・・。
それはまさに、日本の地方競馬のアイデンティティーを根底から揺るがすことになるような気がします。
もし地方交流競走で、中央の芝適性の馬がダート(全天候型トラック)をどんどんスピードにまかせて走り始めたらどうなるでしょう?
また逆に、日本の生産地でどんどんダート適性のある血統の馬産が行われなくなることも考えられます。
そうなると、全天候型トラックを導入できない競馬場は、日本の競馬サークルから取り残され、どんどん走る馬がいなくなってしまう可能性もあるのではないでしょうか?
そしてますますグローバル化されていく競馬ファンからも取り残されて、やがては消えていく運命になる・・・・・。
そんなことも十分に予想できます。
画面に映し出される”世界の競馬”をぼんやりと見ながら、最近の北海道の”ばんえい競馬”の廃止への流れにまつわるニュースや、アラブのメッカ”福山競馬”の前向きな取り組みなどを思い出していました。
この合田直弘氏の”全天候型トラック”の話題は、番組の中のレースよりも私の気になるところでありましたので・・・・・。
それでは、また。
