ス~・・・
境内には金木犀の香りが満ち満ちています。
私は大好きな香りで、若かりし頃の愛車には金木犀の香りのコロンを置いていたほどです。
「あ~、いい香りだね~」って見送ってくださる坊守と三門まで歩いたことです。
ご縁をいただきお参りした御門徒さんの所も金木犀が・・・
香りを楽しみながら「御免ください、お世話になります・・・」
お参り下さっていた方が教えて下さいます、「故人も金木犀が大好きだったんですって・・・」
金木犀を通していろんな事を思わせていただいたことです。
この方は年に一度は必ずお寺にお参り下さり御先祖様をご縁に一緒に阿弥陀さまの前に座らせていただいたことです。
お亡くなりになる一カ月前にもお参り下さっていました。
私は他のお宅にお参りさせていただいたので、その時は坊守がご縁に会わせていただいたのですが、早く帰った私が三門を潜ると坊守と一緒にお勤めされるその方のお姿がありました。
あの後ろ姿、声が私との最後の思い出となったことです。
今日、その時に開いてくださっていた浄土三部経の御経本を持参し皆で一緒にお勤めさせていただいたことです。
大切な方が開いていたお経さん・・・
大切な方が読まれた一言一句・・・
ご縁に会われてどう感じて下さったのでしょう・・・
お勤めの後、ご法話をさせていただこうと振り向いた時、開けている窓から金木犀の香りが「ス~・・・」と入って来ました。
「あ~、いい香りだな~・・・あ~、何かいいよな~・・・」香りのお飾りとなっておはたらきくださるのですねって涙が出そうになりました。
そう感じながら昨晩坊守から聞いた娘のお味わいのことを思い出し、お話させていただきました。
三十二願のお味わいを聞かせていただいたとか・・・
・・・宮殿も何もかもみな限りのない宝物や優しい香りで合わせ成っているのです。とてもきれいに飾られいい香りで満ち満ちている世界・・・
フッと思いだしひと時皆さまと喜ばせていただいたことです。
四十九日でした・・・しんどかろな~って思わずにはおれません。
でも、ず~っと一緒にいてくれることに気付きながら生かさせていただきたいものです。
優しい香りの中に・・・
ハイタッチする手のぬくもりとなり・・・
ギュッと抱きしめて下さっているのでしょう、いつでも、どこでも。
参られていた人生の先輩がポツっともらされます、「季節の箱に、その時の思いを置きながら生きるのですね・・・」
感動しました!
流石人生の先輩のお話は聞かせていただかなければって思ったことです。
その季節、その季節に思ったこと感じたこと心の小箱にそっと収めつつ生き抜きます。
何年後かに、「あっ、そう言えば・・・」って不意に開いた小箱の中に詰め込んだ思いに香りに出会った時、また、涙することができるのです。
歯を食いしばりながら生き抜く私をず~っと抱きしめて下さっていたのですねって・・・
願生りましょう・・・大切に!