「ご院さん、ご院さん・・・」
大人しい御主人とシャキシャキの奥さん、とてもいいコンビです。
遠方からお参り下さいました。
「爺ちゃん、ボツボツ行こうで!言うてなちょっと早めに出てきたんです。」
「ようこそ、遠方なのにね~。ありがとうございます。」
80歳になった御主人、出会った頃とあまり変わられないのですがやっぱり痛いところもあったりしてしんどそう。
シャキシャキ奥さんは、元気一杯!話し上手に身ぶり手ぶりで語ってくださるものですから大笑いさせていただいたことです。
奥さんの弟さんが退院をするのに御主人がわざわざ迎えに行ったのだそうです。
「爺ちゃんは几帳面な人だから自分が待っても人を待たす人じゃない。5分前くらいに病院の玄関まで出ときさいや。」と打ち合わせしていたとのこと。
待てども出てきません、駐車禁止のところなので車からも離れられません。
さて、困った・・・
暫く考えた上でガードマンの方に事情を言って病棟に問い合わせていただいた。
「もう、帰られましたよ・・・」
「え~」また考える・・・ひょっとしたらトイレで倒れているのではないかと案じ、車を飛び出て病院中を捜しまわったとのこと。
当の本人、もう、一本道やけんどこかで擦れ違うだろうと思い家に向かって歩いていたとのこと。
80歳のドライバーですのでキョロキョロ運転はしないそうです。
「まっすぐ前しか見てないからね~まさか帰って来よるとも思わんし・・・」
弟さんは、「擦れ違うんやけん気付く筈じゃ!」
「言うても、お前も爺ちゃんの車気付かんかったやろ!」
もうコントを見るように笑わせていただいたことです。
携帯電話がなかった頃はこんなことばっかりでした。
ウチの祖父はジッとしとるのが苦手な人でして、「ここで待っといてよ、直ぐに用事済ませて来るけんな~」って帰ってみるといないのです。
皆で辺りを捜して捜して元の所に帰ってみると隣りのベンチに座っていたとか・・・
「どこ行っとったんぞな~!」「お~、ちょっとタバコ買いにの~」
こんなシチュエーション何回あったやら・・・
そんなこと思い出しながら聞かせていただいたことです。
その義兄さんのおはたらきを聞きながら「有難いな~」って思ったのです。
「ちょっとしたことで血圧が跳ね上がるけんな~、フラフラするんよ!」
そんな状態でも義弟を捜すのです、倒れていないか案じるのです。
例え義弟がそんなことすら思っていなくても・・・
捜してまで連れて帰ってくれるんですね・・・
いつも自分勝手な私のことでした・・・