つらねのため息

写真や少し長い文章を掲載していく予定。

マイノリティの中のマイノリティ

2005-05-17 23:09:08 | 自治のこと
5月15日はわが大さいたま市の市長選挙。投票率35.51%で現職が当選を確実にしたようです。ぼくの票は例のごとく死票になったので、さながらマイノリティの中のマイノリティといったところ。なお詳しいデータはこちらを参照。
結果を分析してみると中々面白い。まず当選した相川宗一氏はかつての浦和市長なので旧浦和市で広く票を集めている。またかつての大宮市長が応援したせいか対立候補の中森氏は旧大宮では相川氏に勝利しており区によってはダブルスコアをつけている。結果として旧大宮と旧浦和という亀裂構造がいまだに解消されていないということが判明した。
興味深いのは選挙直前に編入された岩槻区(旧岩槻市)の動向である。まず市全体では前述したとおり35.51%と低い投票率であるが、岩槻では 52.17%と高い。これは合併直後と言う一種のユーフォリアが作用したものと見られる。また岩槻区では相川氏が手堅く票をまとめているようである。岩槻は前回の衆議院選挙から埼玉一区に編入されたがその選挙でも民主の現職が手堅く票をまとめている。選挙区の拡張はやはり現職に有利なのかもしれない。
さてこのような結果は(やや飛躍かもしれないが)、EUとのアナロジーで考察すると面白いかもしれない。まず投票率の大幅な低下は合併、政令指定都市化、拡大という一連の流れの中で選挙民と市政との距離がますます広がったことを意味している。これはまさしく深化と東方拡大を続けるEUにおける問題と同じである。第二に合併直後の岩槻区が相対的に高い投票率を維持したというのは民主化後のユーフォリアの中でEUへの加盟を目指した東欧諸国とのアナロジーで考えられるかもしれない。ただしこれら諸国はEU加盟後までその熱狂を維持できなかったが。第三に相対的に豊かな大宮の財源を相川市政の下で浦和に還流させているとすれば、現状に対する大宮側の不満は中心‐周辺の構造で理解できるかもしれない。EUに対する懐疑主義も豊かな中心諸国において強い。

それにしても投票率35.57%とは…。ちなみに2004年のヨーロッパ議会選挙の投票率がトータルで45.7%…(こちらを参照)。ヨーロッパと張り合っても仕方ないけど。当選者は全有権者の14.7%の支持で当選した計算になる。これはいくらなんでも正統性の危機だろう。