つらねのため息

写真や少し長い文章を掲載していく予定。

政権交代の品質保証を!(都議選の結果に思う3)

2009-07-17 19:09:00 | 日本のこと
「都議選の結果に思う1」はこちら

「都議選の結果に思う2」はこちら

都議選の結果については東京都選挙管理委員会のホームページを参照。

都議選ではいわゆる1人区で民主党の若い新人が自民党のベテランに勝利したというのがニュースになりました。

また、都議選の前に行われた千葉市長選や都議選と同時に行われた奈良市長選では民主党推薦の新人が勝利しました。

これは明らかに「変化(アメリカ流にいえばChange!)」を求めている有権者の思いを反映したものと言えるでしょう。しかし、このあまりに大きい民主党への期待には若干の危惧を抱かざるを得ません。

確かに、今のあまりにひどい政権の状態を見れば、「政権交代」という民主党のキャッチフレーズは魅力的に映りますし、その意味でいえば(たとえどのようなものであっても)政権交代そのものに意味があると言えるでしょう。

しかし、少し立ち止まって考えてみれば、「とにかく変えればいい」という主張はかなり危険なものではないでしょうか。「政権交代」というキャッチフレーズは4年前の「郵政民営化」というキャッチフレーズの裏返しであるような気がします。

郵政解散が国会で野次る以外に何の能力もない「チルドレン」を生み出してしまったように、来る総選挙が新たな「チルドレン」を生み出してしまう可能性もゼロではありません。

だからこそ、来る「政権交代」がどのような政権交代であるかを考えなければなりません。

その意味でぼくは「『政権交代』の品質保証をめざします」という社民党の保坂議員の言葉に魅力を感じるのです。

むろんのこと、民主党ではなく社民党に入れれば良いという単純な話ではありません。しかし、「政権交代のある民主主義」が多様性を排除した低レベルな二大政党制に陥らないことを祈らずにはいれません。

「政権交代」を見据えつつ、それがどのような政権交代になるかをしっかり考えなければいけないと思います。

「中選挙区制」の難しさ(都議選の結果に思う2)

2009-07-17 11:26:00 | 自治のこと
「都議選の結果に思う1」はこちら

都議選の結果については東京都選挙管理委員会のホームページを参照。

今回の都議選では民主党が「圧勝」し、共産党や東京・生活者ネットワークは「政権交代」をめぐる2大政党の争いの中で「埋没」したという論調が大勢である。

しかし、本当にそうなのか。

というのも民主党がひとり多く候補を擁立したために共産党の現職が落選するという事例が中野区、練馬区、江戸川区などである。
また、南多摩選挙区に民主党が擁立したために生活者ネットの現職が落選したのも同様の事例である。
ようするに他の野党から民主党へ議席が移っただけという選挙区がいくつかあるのである。
これは民主党の勝利に結びつくとはいえ、自公の極小化には結びついていない。
事実、共産党は得票率でいえば12.56%と公明党の13.19%に近い数字になっているにもかかわらず、議席数でいえばそれぞれ8議席と23議席と倍以上の差がついている。つまり実際の票が議席差には正確に反映されていないのだ。

これは政党の側というよりも有権者の側の問題かもしれないが、都議選のようないわゆる「中選挙区制」の場合、より上手に戦略投票を行い自らの意思を反映した都議会を作る工夫が必要なのではないだろうか。

山は動いたのか?(都議選の結果に思う)

2009-07-17 10:56:00 | 自治のこと
既報の通り、東京都議会議員選挙では民主党が「圧勝」した。しかし本当にそうなのか?この点を少し考えてみたい。

都議選の結果については東京都選挙管理委員会のホームページを参照。

以下の論旨を一言で言うならば、
民主党の「勝利」とは言えないということだ。
上記、都選挙管理委員会ホームページによると、
自民党の獲得議席数は38
公明党の獲得議席数は23
「自公」を足せば獲得議席数は合計61である。
これに対し、
民主党の獲得議席数は54
「友党」東京・生活者ネットワークが2
昭島市で両党が推薦した無所属候補が1
「民主党系」の獲得議席数は合計57となる。

無論これに共産党の8議席、無所属の1議席を足せば
66となり過半数を超える。

しかし、単純に考えれば「自公」を足せば
「民主系」を上回っていることにならないか?

ちょっと無理があるが、この議席数で
国会において首班指名選挙を行うことを考えてみよう。

「麻生太郎」61、
「鳩山由紀夫」58(無所属の1票を加算)、
「志位和夫」8
となるだろう。

上位2人の決選投票で共産党が鳩山さんに入れれば鳩山首班
欠席すれば、麻生首班となる。

つまり、この状況では「政権交代」が起きるとは確実にはいえないのである。

本来、政党というものは政権を目指して相争うものである。
しかし、55年体制下、日本の野党は万年野党に甘んじてきた。
そのような体制を当然視し、
自民党の議席が減るだけで野党勝利という
「勝利」の意味を履き違えた論理がまかり通ってきた。

この都議選の「勝利」も
「自公の過半数割れ」とハードルこそあがったものの
いまだ「野党」としての勝利に過ぎない。

「政権交代を実現する」という意味ではまだ道半ばではないだろうか。
(つづく)