つらねのため息

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「一本化」考

2013-07-15 20:41:00 | 日本のこと
先日、大河原雅子さんの街頭演説を見る機会があり、改めて今回の民主党の参議院選挙、東京都選挙区の候補者「一本化」について考えた。

そもそも語の定義として片方の候補にのみ公認を与え、もう一方の候補には無所属出馬を許すというのは候補の「一本化」というのだろうか?一本化というからには一方の候補が出馬を断念し、出馬する候補を応援するという形にならなければならないのではないか。結局、片方の候補が無所属で出馬してしまうというのであれば、「一本」になっていない以上、本来の狙いであったはずの民主党の支持者の票を一方に集めるという効果は望みえないように思えてならない。すでに記事が削除されてしまっているので確認できないが、テレビ朝日は「参議院選挙東京選挙区 民主、候補者一本化に失敗」という見出しを出していたと記憶しており、こちらの方が事態を的確に表しているといえる。

東京都-H25東京都議会議員選挙投開票速報

今回の候補者一本化は直前に行われた東京都議会議員選挙の結果を受けて行われたと言われている。ところが興味深いことに民主党はこの都議選の5人区で全敗している。つまり候補を2人立てようと、1人に絞ろうと結局は同じことになるのかもしれない。ある意味民主党執行部は最後の言い訳すら手放してしまったと言えないこともない。

ところでいくつかの記事によると今回の候補者一本化は党独自の「情勢調査も行った上で決めた」と言われる。

【参院選2013 東京】民主、東京公認を一本化 大河原氏反発 分裂選挙へ - MSN産経ニュース

たとえば上記記事には「候補者一本化の必要性を痛感した執行部は、週末に参院東京選挙区の世論調査を実施。その結果、大河原氏はやや劣勢だった。だが、この調査を根拠に公認を剥奪されることに大河原氏が納得するはずはない。これまでの調査では鈴木氏が劣勢だったこともあるからだ。しかも、6年前の参院選で大河原氏はトップ当選。鈴木氏は3位だ」とある。

この記事にあるように「大河原氏はやや劣勢」という程度の差で決めてしまったというのもどうかと思うが、そもそもの問題は情勢調査だけで「勝てる候補」に一本化しようとしたところにあるに思う。本当に一本化するのであれば、どちらの候補であろうと民主党の支持者の票を全て集められるはずなのだからさすがに当選することはできるであろう。であれば、その候補が何を訴え、何を参議院議員としてなしたいかをもとに決めるべきではなかったのか。つまり候補者一本化の作業には首都東京で民主党が何を訴えたいのかという議論が完全に欠落していた。ここに民主党の構造的な問題があるように思う。大勝した2009年の総選挙でも「政権交代」がスローガンだったように、民主党は選挙に勝つということを何よりもの大義名分にしていたように思う。それが一定の意味をもったことは否定しないが、その後の民主党政権の動向や昨年の総選挙での下野が意味しているのは、「選挙に勝利」した後に何をするかというビジョンがないままに「政権交代のある民主主義」を掲げて突っ走ってきたこの党の中心の不在とでもいえる状況ではないだろうか。それはイデオロギーというと少し大げさかもしれないが党が掲げる基本理念や目指す社会像のようなものだ(そういえば激論の末にできた民主党の綱領も何とも中途半端なものと言われている)。

それにしても中選挙区制というか、単記非移譲式の選挙は実にめんどくさいものだ。有権者の支持の多寡よりも政党の戦略次第で、当選者が変わり得るというのはわかりにくいしある意味、非民主的だといえる。比例代表とか移譲式の選挙制度に早く変わらないものだろうか。

追記:この記事を書いていて思ったのだが、意外と新聞記事などでも「東京選挙区」としているものがあるのだが、正式にはやはり「東京都選挙区」ですよね?

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