つらねのため息

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憲法議論

2005-05-06 00:00:00 | 日本のこと
近頃「憲法改正」という言葉がよく聞かれる。保守政治家が「9条はけしからん。日本も軍隊をもちたい」と考えるのは話としては納得できるし、それはそれで一つの首尾一貫した政治的立場というものである。問題は左翼がこの問題をどう考えているかというところである。現在の「憲法改正」論議が9条をかえるための策動であり、だから政治的な戦術として「護憲」を唱えるのはわかる。ただ問題はどうもその先を日本の左翼は考えていなさそうな点にある。少なくとも昨今の社共両党の議論を見る限り、感情論的な護憲論しか聞こえてこない。しかし、何が何でも憲法を守ろうという立場では憲法の持つ理念は守れないように思う。少なくとも本来あるべき護憲とは憲法の条文を一文字たりとも変えさせないという点にあるのではなく、それをいかに生かしていくのかというところにあるはずだ。それができずに徒に憲法を守るといってもそれはただの現状追認にしかならない。「非武装中立」を訴えていた政党が、自衛隊は「違憲合法」なんていうよくわからない話をしてついには日米安保「堅持」とまで言い出したのはその好例だ。結局単に憲法の文字を守ろうとするだけでは解釈改憲に対抗できない。本当に「護憲」を唱えるのなら自衛隊は9条にあわないのだから廃止すると言ってしかるべきであるし、それは9条「改正」と同様に一つの政治的立場であるはずだ。

裁判官とか政治家という頭のいい人が考えると違うのかもしれないが普通に考えれば憲法9条と自衛隊の存在は矛盾する。そして今の法体系の下で考えれば自衛隊はなくすべきである。護憲を言うのであればそこまで言うべきだと思う。それができないのであれば憲法を変えてどこかで折り合いをつけるしかない。党内の複雑な議論をまとめられないだけだろうがその意味では民主党の態度の方がよっぽど真摯である(断っておけばぼくは憲法を変えるのではなく自衛隊をなくすべきだと思っている)。

そもそもちょっと左翼な人間であれば「象徴」とはいえ侵略戦争の象徴でもあり封建制の遺物でもある天皇制を残した現行憲法に「改正」の余地があることは明らかなはずだ。「社会民主主義者」や「共産主義者」が憲法1条をそのままに「護憲」を唱えるのはちゃんちゃらおかしい。感情的な護憲論ではなく、ちゃんと突き詰めた議論をして欲しいものである。

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