つれづれ日記

不動産鑑定士 佐藤栄一が仕事や生活で感じたことをつづります

大震災が福島県の不動産市場に与える影響

2011-03-25 19:39:07 | 不動産評価(専門)
大震災から2週間経過しました。

地元経済は、動こうと”もがき”始めていますが、まだ動けないでいます。

今回の震災で、県内の不動産は二重の意味で「リスク資産」になってしまいました。

一つ目は、地震により、土地や建物の損壊がいたるところに見られます。見かけ上は大丈夫に見えても表に見えない損害を受けている土地・建物もあるかもしれません。

二つ目は、原発事故により、放射能による土壌汚染が懸念されていることです。これは、まだ流動的な面が多いと思いますが、既に実施されている農作物の出荷規制をみれば、心理的にも不安材料になると思います。

多くの方が上記のようなことを考えると思いますので、不動産市場は混乱することが予測されます。

これから土地を買おうと思っていた人は、その土地が大丈夫なのか不安に思うでしょうし、これから住宅を買おうと思っていた人は、その住宅が本当に大丈夫なのか心配になると思います。

更に、金融機関が担保不動産を査定する際にも影響が出ると思います。少なくとも、これまでよりは低めの価格水準で査定さざるを得なくなるでしょう。

そうすると、不動産の担保価値が全体的に下がり、地震によって大打撃を受けた地元経済がさらに縮小してしまうことが懸念されます。

混乱を最低限にとどめるには、「目に見えない」不安を少しでも取り除くことだと思われます。

上記一点目の「土地や建物の損壊」については、建築・土木の専門家を活用して物理的な被害のある・なし・程度を明確にしていく努力が求められます。

上記二点目の「放射能による土壌汚染」については、当面は、原発の状況が収まるのを待つしかありません。そして、状況が安定してきたら、これは国または県による対策が急がれると思います。

混乱を最小限にとどめるために、私たち不動産鑑定士も隠すことなく的確な意見を発信していかなければならないと思います。