ワインレッド?のツバキ

2006-03-31 17:03:12 | 


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素晴らしい色、形のツバキだ
濃紫紅色とでも言うのか、濃いワインレッドというのか・・・
今まで見たこともない色合いだ
一瞬、バラ?と・・・葉を見れば明らかにツバキの葉だ
「クロツバキ」と言うほど黒くない

ふらっと、訪れた通りすがりの寺の境内の脇道に
ポツンと一株のツバキの樹
まだ、樹高は高くないから、まだ幼木だろう
檀家の寄進かも知れない

ツバキの花にありがちな、薄っぺらい紅色の花を見慣れた私には
一寸、背筋に震えが走るほどの感銘を受けた
花を訪ねていると、時折戦慄が走るほどの美しい花に出逢う

今朝のバスの中の出来事である
駅に近いバス停から乗ってきた年輩のメガネのオジサン
大きな荷物を持っているところを見れば旅行者か?

真ん中の乗車口のステップを上がり、何かごそごそしている
私の何時も座る席は一番奥の右側の窓際
そこからは、よく解らないが、突然穏やかな女性の声
「○△*#%???・・・」
ん?
英語か?
乗車口から三つほど離れた辺りに座っている着物姿の女性だ
なにか、説明したのだろう
彼は、「サンキュー」「マイファーストタイム?#&%???」

はは~ん、バスに乗ったときの乗車バス停を知らせる「乗車券」を
彼はどうして良いか解らなかったようだ
それを見かねて妙齢の女性が声を掛けて助け船を出したようだ

この路線は多くの外国人が、バスに乗ってくる
以前、私もバスターミナルで出るはずのない「乗車券」を発行機の
前で、不審な顔をして見ている外国人に
「始発のバス停では乗車券は、出さないんだよ」 < ここの所一応英語で ^^;
と、説明したことがある

しかし、今朝の妙齢の女性は、確かな英語で彼に説明して、
慣れない土地での彼の不安を解消してあげた

私と同じような老年に入ろうかという着物姿の女性が、
英語をしゃべったって、いっこうに変な事ではないのだが、
ちょっと、ビックリして顔をまじまじと見てしまった

彼の周りには、恰幅の良い紳士然とした人や、
女子大生とおぼしき若い人たちが、立っていたのだ

手助け出来るだけの英語能力が無いのか
他人事、まして、日本人とヒスパニック系の二世とおぼしき風体の外国人には
無関心なのか?

多分、両方なのだろう
言葉が分からなくても、発券機に手を伸ばして、
彼のために券を取って上げることくらいは、出来そうなものだ

着物姿の女性が、妙に魅力的に見えて、そんなには美人では無いが
品の良い横顔に見入ってしまった

世の中にも、キラリと光る優しさと周りに気配り出来る、
アンテナをしっかりと立てて状況を判断出来る人はいるものだ

そんな人の髪に、こんな色の椿の花を手折って
カンザシ風に刺してあげたい、でも、花が、でか過ぎだな

こんな人には、やっぱり、
この椿のような色のバラを贈りたい

ニワウメ

2006-03-31 01:07:37 | 


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ニワウメ
バラ科
サクラ属

可愛い小さな桃色の花を枝にびっしり付ける
花の後には、サクランボを小さくしたような赤い実を付ける
同じ小さな赤い実をならす樹として「ユスラウメ」がある
花は、もっと大きくて白いから違いが判る

子供の頃、近所のおじいさん、おばあさんの家の庭にあって
こっそり、庭に入り込んでは、弟と、赤い小さな実を採っては口にほおばって
おじいさんに、怒鳴られて退散したものだ

あの当時は、私の小さい頃は、今のように甘い物が沢山コンビニなどで
売られていなかった・・だいたいコンビニなんて便利なものは無かった
せいぜい、駄菓子屋である

内職の和裁で、家計を助けていた母に頼まれて
出来あがった着物を、依頼主の家に届ける

瀟洒な家の木戸を開け、玄関の格子戸を開けると
「幾らだい~」と、声がかかる

もじもじしていると、中から綺麗な女の人が玄関先に出てくる
母から預かった着物をくるんだ風呂敷を上がりがまちに置くと
風呂敷を開けて着物の上に置いてある封筒を取り
着物を持って奥に入り、封筒を持って戻ってくる

「無くすんじゃないよ」と、声を掛けられて封筒を渡される
母も心得たもので、家を出るときに、木綿で作った腹巻きのような帯を
私の腹に巻いてくれる
胴巻きを巻いた子供なんて、今頃お目にかからない

「ほらっ、しっかり入れてやるから、こっちにおいで」
あくまでも、切り口上な物言いなのだ

綺麗な女の人にヘソを見せるのは気恥ずかしいが
仕立て代を無くすことの怖さに、恥ずかしさが勝る

くるくるっと、晒しの帯を解かれて、ポケットのような内側の
縫い込みに封筒を入れられ、また腹に巻かれる
女の人のかぐわしい香りに、何故か顔が赤らむ

「ほらっ、寄り道せずに真っ直ぐ帰るんだよ」
そう言って、頭をなでられ
紙に包んだお菓子を手渡される
中にはつぶつぶの角がある「コンペイトウ」が入っている
彩りの良い小さな甘い粒がお駄賃である

それから、何度も、その家に母の使いをした
ある時、勝って知った木戸を開け、玄関の格子戸を開ける
何時もの「幾らだい」の声がかからない

「ごめんください」
「・・・・・」
返事がないのだ

困ってしまって、玄関にたたずむ
仕立て代を持って帰らなければ、母をがっかりさせる

「ごめんください」と声をかける
やっと、中で人の気配がする

しばらくすると、一寸何時もと様子の違う女の人が出てきた
・・・・・
今ならば、どのような状況の家に入ったのかは、判る歳になった
その時の女の人の放つ、妖艶というか、
すさまじいまでの女の輝きを、年端のいかない子供が解るよしもない
ただ、自分の中の何かが、その時の女の人の雰囲気を感じていただけだ

「少し遊んでから、又来ておくれ」
そういって、また奥に戻っていった

仕方なくとぼとぼと引き返す玄関の脇に
淡い桃色の花、ニワウメが咲いていたのを今でも忘れない