うろこ玉絵日記

日々のなにげない一こまを絵日記にしてみました。大阪に近い奈良県在住です。
マウスでかいてまーす。

本牧市民プール

2006-08-29 | Weblog
子どものころ夏にはバスに乗ってよく本牧のプールにいった。
20年以上も経っていることと気づきあらためて思い出そうとしたが、
古ぼけたフィルムをみるようで記憶もあいまいだ・・・。

市営バスに乗って国道を走っていく。
街を抜けて、真夏の原っぱの中をただただ揺られていく。
ビニールのバッグを持って乗りこんでくる子どもたちは皆同じところへ
向かっているのだ。

「あれアメリカ人の家だよ」と誰かが言う。
遠くにある家はゆっくりと車窓を過ぎていく。
「本当だ、日本の家と違う気がする」と思う。

あまりにも長くだらだらと道がつづくのでいつも飽きる。
他の子たちのおしゃべりも少し静かになったころ、
プールの停留所に着く。

そこは横浜では当時は大きく立派な施設でいつもにぎわっていた。
遊んでいると誰かの投げたボールが飛んで来たり、
投げ返して「ありがとう」といわれたりした。

決まった時刻になると全員プールから上がるようにと放送があって、
休憩の時間をとらされた。

わたしたちは皆膝をかかえてプールサイドでじっと水の表面をみつめる。
背中がじりじりと焼けても日陰には行かなかった。
休憩の終わりを告げる合図とともに飛び込みたかったからだ。


子どもたちに見守られた無人のプールは不規則に光をゆらし、
たった10分を、待ちきれないほど長い時間に感じさせる。

「休憩ガ、オワリマシタ」という声が終わるか終わらないかのうちに
あちこちで祝砲のように水音が響く。

あの本牧の夏の光は、ぼんやりとして、もったりと包み込むようだった。



強烈な日差しの中で「ママ!」と呼ばれてはっと目がさめる白昼夢。