うろこ玉絵日記

日々のなにげない一こまを絵日記にしてみました。大阪に近い奈良県在住です。
マウスでかいてまーす。

朝の五感

2010-11-24 | Weblog
明け方帰ってきた猫が開けた窓から
細く冷たい空気が流れてくる

露のにおい
濡れた葉っぱのにおい
冬のにおい

まだ眠っている子どもたちを見おろして
窓を閉め、猫に餌をやり
外をながめる
どんよりと雲はたちこめているけれど
東の空はすこし明るい

空のうえのほうは勢いよく風が吹いて
空気がどうどうと流れているのだろう

そんな音がきこえるような気がする


わたしはコーヒー
夫と子どもたちは野菜のスープ
真っ白い湯気をあげて台所が働きだす


頭がやっぱり少し痛い
首筋が重い


あ、と思い出して
昨日観にいった日本画家・堀文子さんのインタビューが載った本を探す
友人から借りっぱなし


ページを繰る
薄くなった指の皮膚に紙はするどい


つづき

2010-11-24 | Weblog
現在92歳の堀さんのことば

本物の女たちの 美しい生き方 ニッポン・ビューティ 講談社より


今、世の中が明らかにおかしくなっておりますね。
欲張りな人間が地球上を支配して、天空まで変えてしまって。
地震も台風も異常気象も、人間がやってきたことの結果かもわかりませんよね。
それに、日本のこの状態は危ない。
わたくしの経験した時代にそっくりですから。
今度、戦争が起こりそうなときはどうすれば阻止できるかと、ずっと考えていました。
女とマスコミがしっかりしていれば平和を守れると思ってきたんです。
けれども今の日本は、その両方が経済の僕になってしまいましたね。
わが子を守るより欲しいものを手に入れたり、金持ちになるほうを選ぶ女が増えている。
日本人が壊れています。子を殺す生物なんていませんよ。
昆虫だって、そんなことしてません。
生物であることを忘れてしまった人間は堕落するばかり。


でも、わたくしは人として、1㎜でも上昇して死にたいんです。
だから自分を甘やかすわけにはいきません。
死ぬまで現役の職人でいるつもり。
ラクではないけれど、そんな生き方が好きですし、ラクって鈍いでしょう?
鈍感は、盗みよりも嫌い(笑)。
その点、自然は鋭敏で、自分の仕事を怠りません。
ほら、放っておいても日々姿を変える、この木々の美しさをごらんなさい。







インタビュー時90歳。大磯在住です。
どんな話し方をされるんだろう。想像しながら。「ごらんなさい」の言葉にぞくぞくする。