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落語 昭和の名人 決定版 (1) 古今亭志ん朝

2009-01-21 19:30:00 | 新釈落語噺
あんまり安いんで買ってしまったけど(期間限定定価490円)、物故者ばかりの「昭和の名人」シリーズ第1巻が古今亭志ん朝師匠だというのは、なかなか思うところがありますね~。まあ、この「昭和の名人」にかろうじて間に合ったのが、わたしにとっては幸せなことだったとは思うんですけれど・・・。

晩年の高座には何度か触れることが出来たし、高座以外でも三度ほどお会いすることが出来た古今亭志ん朝師匠。

というわけで、個人的に思い出の尽きない噺家なんですが、今回のこのシリーズ収録「夢金」は初めて聞きました。

というか、なんで「夢金」なの?っていうのが正直な印象だったのですが、聞いてみるといいんですよね、志ん朝師匠らしくてね!

「夢金」という落語といえば、三代目三遊亭金馬と六代目三遊亭円生のものが名演として有名で、金馬の場合はぞろっぺいな職人風、円生はちょっといやらしくて小ずるい人間像の船頭。1階と2階、船宿の入り口の三つの空間を立体的に表現する工夫や冬の隅田川の描写なんかが、独特の魅力をもつ噺なんですよね。

で、志ん朝のこのCDを聞いてみると、冒頭の船頭の寝言の音楽性がこの人ならでは。たぶん、三代目春風亭柳好がこの噺をやったならこんな感じだろうな~と思える歌う調子があるんですよね~。このあたり、改めて金馬や円生の音源を聞いてみると、案外地味に寝言を処理している。

というわけで、安さもあるし、買いなんじゃないですかね。

因みに、同時収録の「品川心中」も悪くないのですが、この噺に関しては父親の志ん生のもののほうがわたしは好き。ヒロインのお染に愛嬌がありますからね。

ただ、「品川心中」に関しては続きがあって、金蔵が仕返しする「下」の部分があるんですよ。これは、映画『幕末太陽伝』でも少し利用されていますが、この「下」まで完演しているのは円生と談志(さん喬もやっているそうですが、未聴。)で、わたしは談志のものがとても好きです。(女から誘う心中の怖さがありますから。ちょっと太宰治の小説みたいで・・・。)

さて、このシリーズ第2弾は志ん生ですか・・・。どうしようかな?!

CDつきマガジン 隔週刊 落語 昭和の名人 決定版 全26巻(1) 古今亭志ん朝(壱)

小学館

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