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米韓FTAの暗闇 ミニTPPの本質探れ (02月24日) :日本農業新聞論説記事です

2012-02-25 21:07:47 | 言いたいことは何だ
米韓FTAの暗闇 ミニTPPの本質探れ (02月24日)
 
 韓国内で国論を二分していた米韓自由貿易協定(FTA)が3月15日に発効することになった。法的手続きである国会批准を終えており、発効は時間の問題だった。問題は、韓国内で10万人デモが起きた協定の内容である。環太平洋経済連携協定(TPP)の「事前協議」を進めている日本は、韓国の全面敗北と言われる同協定の「暗部」を解明する必要がある。米韓FTAの本質は、関税撤廃と大幅な規制緩和を同時進行する「ミニTPP」だからだ。

 23日、参院議員会館内で与党の有志議員らでつくる「TPPを慎重に考える会」(会長=山田正彦前農相)の訪韓団の報告会があった。そこで明らかにされたのは、米韓FTAの危険な側面と、それを踏まえた日本のTPP協議への在り方だ。既に米国政府は、日米の「事前協議」でTPPの考え方について「米韓FTAを参考にしてほしい。それよりもさらに自由度を高めたい」と明言している。こうした中で、「慎重に考える会」が訪韓し、当地の反対する野党関係議員らと意見交換した。大変、重要な議員外交だ。

 それにしても、TPP交渉参加問題で「前のめり」の姿勢を崩さない政府の姿勢は大きな問題だ。鹿野道彦農相も懸念を表明するほど情報公開は限定的で、国民的な議論は内実が伴っていない。なぜ政府は、企業が相手国を訴えられる「毒素条項」など大きな問題を含む米韓FTAの実態解明を精力的に進めないのか。議員外交で、内実の一端が明らかになるようでは論外だ。万が一、「ミニTPP」が本質である米韓FTAの問題点を明らかにすれば、TPP論議に悪影響を及ぼすと考えているとしたら言語道断である。厳しい国民の指弾を受けることになるだろう。

 一時、「自由化をもっと加速させなければ日本は韓国に後れをとる」とされた韓国の実態はどうか。相次いで2国間の自由貿易協定を締結する韓国。李明博大統領は欧州連合(EU)とのFTA締結に際して「韓国の領土は小さいが、経済的な領土は世界的な規模だ」と豪語した。そして、まるでこぎ続ける自転車のように経済開放を進めてきた。それもそのはずだ。国内総生産(GDP)に占める対外貿易、外需の比率は5割を超え、海外の追い風を受けながら経済を成長させる構造となっているためだ。GDP世界1位の米国とのFTAはその到達点だ。

 しかし、通商交渉には光と影が、コインの裏表のようにつきまとう。農業部門は大きな打撃を受けた。一部の輸出産業は利益を受けているが、恩恵は極めて限定的だ。逆に国際競争力の名の下に、企業倒産、人員整理で若者の失業率は高い。「いったい誰のための自由化なのか」。この大半の韓国民の悲鳴を、野田佳彦政権をどう受け止めるのか。韓国の混乱を反面教師として、政府はTPP協議を一刻も早く打ち切るべきだ。



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