TPP懸念と疑念 自由化こそ復興の妨げ (03月14日)
水面下で進む環太平洋連携協定(TPP)交渉参加問題に、農業団体や消費者団体、医療関係者などは一段と懸念を強めている。13日の「TPPを考える専門分野会議」やJAグループによる全国要請集会でも浮き彫りになったように、「国のかたち」を大きく変えかねないTPPの危険な側面は明らかだ。特に強調したいのは、TPP論議は、東日本大震災復興に逆行し地域再生への最大の障害となることだ。国民的な懸念と疑念が強まっているTPP参加は絶対に認められない。
ゼロ関税に伴う農畜産物自由化は、東北を支える担い手や若手農業者の営農意欲に冷水を浴びせている。野田佳彦首相は「最大の課題は、被災地の復旧・復興と原発事故の一刻も早い収束。これが実現しなければ日本の再生はない」と繰り返している。確かに復旧・復興の道具立てはそろってきた。予算措置、大震災関連の法改正、そして国全体の司令塔となる復興庁の設置だ。しかしその一方で「異常協定」であるTPP交渉参加に向けた「事前協議」が水面下で進む。政府は、自由化こそが復興の妨げになることを再認識すべきだ。今は外需を呼び込むよりも、国内の産業を総動員した復興を通じ、被災地の再生や自立を進めることで、内需を後押しする時期である。1億2000万人いる巨大市場を持つ日本は国内総生産(GDP)の8割以上を内需が占める。ここを重視すべきだ。被災地の農業者がTPP反対を主張するのは当然の権利だ。そして東北地区の生協連会長は共同声明で、TPP参加は大震災で大打撃を受けている農林水産業の再生に大きな障害となると懸念を表明した。政府はこうした地域の叫びに応えるべきだ。
大きな打撃を受けた東北3県の沿岸部は、農業や漁業といった第一次産業が基幹である。被災地の再生は農業の復興が欠かせない。ゼロ関税が大原則のTPPによって、最悪の場合、食料自給率は1割程度に落ち込む。民主党農政の最大の目玉は、農業者戸別所得補償制度を通じて自給率を50%にまで引き上げることだ。所得補償水準の課題はあるものの、直接支払いという国際的な農政の流れにも沿っている。民主党は今こそ農業者に「公約」を果たすべきだ。そのためにはTPP「事前協議」を即刻断念すべきだ。
13日のTPP関連の専門分野会議や全国集会を通じ、あらためてTPPの危険極まりない協定の実態が明らかになった。企業が政府を訴えられる「毒素条項」と呼ばれる投資家・国家訴訟(ISD)条項への懸念とも重なる。国民が共有することが何よりも重要だろう。外国の専門家を交えた専門分野会議で「TPPは医療分野でも食の安全分野でも、営利のモデルをどこにでも持ち込む」「日本は(TPPという)毒が盛られているテーブルに着いてはならない」の指摘があった。肝に銘じたい。
水面下で進む環太平洋連携協定(TPP)交渉参加問題に、農業団体や消費者団体、医療関係者などは一段と懸念を強めている。13日の「TPPを考える専門分野会議」やJAグループによる全国要請集会でも浮き彫りになったように、「国のかたち」を大きく変えかねないTPPの危険な側面は明らかだ。特に強調したいのは、TPP論議は、東日本大震災復興に逆行し地域再生への最大の障害となることだ。国民的な懸念と疑念が強まっているTPP参加は絶対に認められない。
ゼロ関税に伴う農畜産物自由化は、東北を支える担い手や若手農業者の営農意欲に冷水を浴びせている。野田佳彦首相は「最大の課題は、被災地の復旧・復興と原発事故の一刻も早い収束。これが実現しなければ日本の再生はない」と繰り返している。確かに復旧・復興の道具立てはそろってきた。予算措置、大震災関連の法改正、そして国全体の司令塔となる復興庁の設置だ。しかしその一方で「異常協定」であるTPP交渉参加に向けた「事前協議」が水面下で進む。政府は、自由化こそが復興の妨げになることを再認識すべきだ。今は外需を呼び込むよりも、国内の産業を総動員した復興を通じ、被災地の再生や自立を進めることで、内需を後押しする時期である。1億2000万人いる巨大市場を持つ日本は国内総生産(GDP)の8割以上を内需が占める。ここを重視すべきだ。被災地の農業者がTPP反対を主張するのは当然の権利だ。そして東北地区の生協連会長は共同声明で、TPP参加は大震災で大打撃を受けている農林水産業の再生に大きな障害となると懸念を表明した。政府はこうした地域の叫びに応えるべきだ。
大きな打撃を受けた東北3県の沿岸部は、農業や漁業といった第一次産業が基幹である。被災地の再生は農業の復興が欠かせない。ゼロ関税が大原則のTPPによって、最悪の場合、食料自給率は1割程度に落ち込む。民主党農政の最大の目玉は、農業者戸別所得補償制度を通じて自給率を50%にまで引き上げることだ。所得補償水準の課題はあるものの、直接支払いという国際的な農政の流れにも沿っている。民主党は今こそ農業者に「公約」を果たすべきだ。そのためにはTPP「事前協議」を即刻断念すべきだ。
13日のTPP関連の専門分野会議や全国集会を通じ、あらためてTPPの危険極まりない協定の実態が明らかになった。企業が政府を訴えられる「毒素条項」と呼ばれる投資家・国家訴訟(ISD)条項への懸念とも重なる。国民が共有することが何よりも重要だろう。外国の専門家を交えた専門分野会議で「TPPは医療分野でも食の安全分野でも、営利のモデルをどこにでも持ち込む」「日本は(TPPという)毒が盛られているテーブルに着いてはならない」の指摘があった。肝に銘じたい。