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「夢の超電導線」実用へ本格化 電力問題解決の切り札となる可能性も:goo記事です

2013-01-07 06:56:43 | 日記
「夢の超電導線」実用へ本格化 電力問題解決の切り札となる可能性も
2013年1月6日(日)18:00

(産経新聞)
 電力ケーブルに使用する銅線に代わる「超電導線」に期待が高まっている。送電ロスが銅線に比べ約半分に軽減されるからだ。約100年前オランダの物理学者が発見して以降、電気抵抗がゼロにできるなどの特長を持つ一方、実現が困難で「夢の超電導」と呼ばれてきた。電力を無駄なく送電できる超電導線は、日本が抱える電力問題を救う大きな一助となりそうだ。

 超電導と呼ばれる現象は、1911年、オランダの物理学者ヘイケ・カメルリング・オネスが発見した。電気抵抗はなくならないものとされていたが、オネスは温度がマイナス269度以下になると水銀の電気抵抗がゼロになり、電圧をかけなくても電流が流れ続けることを発見した。電気抵抗とは電流の流れにくさを示す。電気抵抗があると電力は熱エネルギーにかわり、エネルギーを損失してしまう。電気抵抗ゼロの超電導は電力ケーブルに使用するには最適だ。

 ただ、製品への応用には超低温が障壁となった。超電導が起こる環境を実現するには、高価な液体ヘリウム(沸点はマイナス269度)でケーブルを冷却し続けなければならず、電力ケーブルへの使用には現実性がなかった。ところが、1987年に研究が大きく前進した。マイナス196度でも超電導現象を起こす新材料のセラミックの一種が見つかったため。この発見で、低価格の液体窒素で冷やすことが可能になり、実用化に向けた研究が進んだ。

 各国の研究者や事業者が超電導ケーブルの製品化を研究する中、2004年に世界で初めて電気抵抗をゼロにできる超電導線の量産化に成功したのが住友電気工業だ。同社は金属粉末を加工し、金属製品を造る粉末冶金(やきん)の技術を得意としている。超電導線の材料となるセラミックの粉末は固く、壊れやすい性質があるが、同社はこの技術を応用し、しなやかで曲げられる超電導線の開発に成功した。電気を高い利用効率で使えるため、注目度は非常に高い。

 「日本国内で作られる電力のうち、銅線の送電ロスにより5%が無駄になっている」。住友電工の担当者はこう説明する。日本全体の電力需要は年間約1兆キロワット時。5%は約500億キロワット時に相当し、毎年、これだけの電気が送電時に熱に化けて失われている。これは標準的な原子力発電所(60億キロワット時)の7~8基分にあたる。

 超電導線自身の送電ロスは銅線の半分で、仮に国内の送電網を超電導線に全面切り替えすれば、単純計算で原発3~4基分の電力をまかなえる。さらにケーブルの断面積が同じなら、銅線の約200倍の電流を流す能力がある。つまり同じ送電能力なら、銅線よりもコンパクト化することが可能。地下送電線を建設する場合、大きなトンネルを掘る必要がなくなり建設コストを減らせるという。

 長年夢物語と思われていた超電導線だが、近年は世界で送電実験が行われ、実用化に向けた動きが本格化している。住友電工の超電導ケーブルはすでに中国に納入、ドイツやロシアからも受注があるほか、平成24年10月から東京電力の旭変電所(横浜市)で国内初の送電実証実験が開始。25年1月には、住友電工大阪製作所(大阪市此花区)内で関西電力と共同実証実験を行う。

 ただ、海外に比べ国内の電力会社は新技術への導入に慎重だ。停電が多発する海外に比べ、電力網が整備された日本は、非常時の供給体制などに不備がない。さらに原発停止の影響による経営悪化で新たな投資に余裕がないことも、日本の電力会社が超電導線を含めた新技術導入に後ろ向きな要因となっている。

 しかし、発想を変えれば、超電導線は電力問題を解決する切り札の一つになりうる。住友電工の担当者は「高コストゆえに敬遠されてきたが、量産化によるコストダウンなどで、トータルコストを見ても銅線と拮抗(きっこう)するようになってきた」と話す。日本メーカーが高い技術を誇る超電導線は、電力問題の解決を手助けする重要な製品といえる。(中山玲子)



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