憂生’s/白蛇

あれやこれやと・・・

笑う女・・11

2022-08-19 20:55:46 | 笑う女

通常・・。
病院などに長期入院している患者にとって
何よりも楽しみなのは、食事だろう。

笑子に性を教え込みさえしなければ
笑子はひずんだ欲望処理の餌食にされることはなかった。
そして、三度の食事を楽しみにするだけの
憐れな消化器官を具有する物体として、
男の欲望にもまれもしなかった代わりに
食事を与えられ、厄介な生き物として事務的に
あるいは、機械的に満腹感を渡される。

これは・・、惨めじゃないか?

わずかながら・・・。
女として扱われる。
人間として対峙されるという部分だけにスポットを当てれば
笑子はセックスされることで、
笑子という存在としては、
最高に人間らしい頂上に立てているのかもしれない。

まして・・や、
江崎の言う通り
笑子の希求であるならば・・・。

笑子の意志でしかない。
笑子が望んでいる。

俺は手を胸から滑らし
笑子の秘部にふれた。

薄赤い肉の内部から
男の欲望を受け止めたいと
笑子のサインが溢れかえり・・。

俺はその透明の粘液を指に絡めると
笑子の肉の中に指を押し込んで入った。

女の持ち物でしかない。
ドコの誰とも変わらない
女の持ち物が暖かく俺の指をくるみあげる。

セックスを簡単に遊びとして
楽しむ事の出来る健常者が・・・。
憐れに男にだまされ、もてあそばれているだけのこともあろう。

笑子もまさしく、そうだ。

と、いえるだろうか?

食事以外の楽しみを知った。

笑子にとって
普通なら、けして、知ることも
与えられることも無かった快楽。

男が欲望処理のためであろうが
笑子には、
唯一の楽しい時間なのだろう。

そして、
男の勝手な道具にされる以外
笑子がその希求をかなえることは出来ない。

江崎のいう通り・・・。

セックスボランティア・・・。

笑子が望んでいるんだ・・。

俺は・・・
悲しい欲望を笑子にぶつけ
笑子はソレを高く受け止め

悲しい不協和音は
ただただ・・・、
笑子の満足の中にひたかくされていく。

俺は結局ぬきみを笑子の中におどりこませ、
江崎と同じように
「笑・・気持ちいいだろ?」
あくまでも笑子の希求をかなえてやる
優しいボランティアでしかないと自分を偽り、事を終えた。

江崎が笑子の傍らに置いていったままのティッシュボックスから、
ティッシュを引っ張り出すと
俺は笑子の腹の上に打ち放ったものを拭い去った。
精液を拭いさる俺の瞳から
ぽたぽたと落ちるものがあった。
俺は・・・。
なぜか、
とてつもなく、悲しく
とてつもなく、惨めだった。
笑子を介護してきたのは、
こんな事をするためじゃない。
所長にいわれたように、
少しでも、人らしい成長を促したい。
たしかに・・・。
これが、健常者であれば、
俺は「女」の部分での通常の成長と考えられたかもしれないし、
俺もレイプでしかない性交渉を
ボランティアなどと、誤魔化すことなく
かつ、後味の悪さを残さず
笑子の反応を小気味よくたのしめただろう。
だけど、俺の胸に残ったものは
笑子への哀れみしかない。
性を教え込まれなければ
笑子は廃人のごとくに生きてゆくだけだったろう。
レイプでしかない性を
それでも、それでも、笑子は楽しむ。
恋をして、
愛を育て、
そして、子供をはぐくんでゆく。
女の器官は
偉大な愛情表現と
命をはぐくむ責任を委託される
もっとも尊厳で崇高な側面を持っている。
なのに・・・。
笑子には・・・それらはいっさい与えられず、
男の欲望を宥めるだけの呈のいい玩具。
それならば・・・。
いっそ、いっそ、はなから、
性なんかおしえこまず、
笑子も性なんか、憶えこまず
母親の折檻におびえたように、
江崎の破瓜行為におびえてしまえばよかったんだ。
なのに・・・。
それでも、
笑子の身体は「女」になりたがった。
どんなにか、痛かったろうに・・。
どんなにか、苦しかったろうに・・・。
なのに、
「女」が笑子を支配し、
男のものをうけとめたがる・・・。
「女」・・・になる事。
笑子・・・にとって、
それは、紛れも無い希求であり・・・。
俺達という、「男」は
「女」を前にして「男」になりさがるしかなく、
いいだせば、笑子自身が
人間としての尊厳を認識することもなく、
恋も愛も・・・一切の感情なぞ求める事も知らず
ただ・・・、女の器官に男の器官をぶちこまれれば・・・
それ・・で・・い・・い・・・。
こんな不毛な行為に・・・笑子は嗚咽をもらし・・。
俺はそれに加担する・・。
それで・・・それで・・・いい・・と、
笑子?
それで・・・いい・・・と・・・?
お前が
あまりにみじめで・・・。
そして、
そのお前を抱いてしまった俺がいまさら・・・みじめで・・・。
俺は落ちる涙を拭いもせず
笑子の身繕いをしてやり、
笑子の身体をきちんとベッドの上部に引きずり上げてやると
部屋から出て行った。



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