「いやじゃ・・・」
なんど懇願しても白峰に穿たれた物から、離れえない。
「きのえ・・・無駄じゃ。蛇の物は果てるまで離れぬ」
いつまで続くか判らぬ蹂躙がきのえを苛み、悲痛な泣き声が喉を虚しく通り過ぎてゆく。
「父さ・・まが案じて・・おる。帰して・・・くれや」
「心配すな。勝源には、知らせをやる」
きのえの一計はあっさりと握り潰される。
白峰という神格の面倒さがここにもある。
わざにでむかなくとも、勝減の夢枕に立つか、朧の姿を降臨させ神託をつげるか。
どちらにせよ、きのえを抱いた手を緩めずにすむ事だけは間違いない。
『どうしても、七日をとめおくしかないのか』
ほんの一時の辛抱と高を括った交わりも恐ろしく長い。
是が七日の間に何度くりかえされることか。
白峰の実に嬲られつくされる七日により、
きのえの中の黒龍への思慕は完負なきほどに叩き潰されることになる。
『こ、までされて、黒への操のたちようもあるまい』
その「こ」はいま、始まったばかりでしかない。
押さえつけたきのえの身体を弛めても、既に抜け切れぬ物がきのを捉えている。
ゆくりと、たぶ実を蠢かし、白峰の物になったきのえをその身体に教え込む。
「辛抱しやれ。すぐに・・・」
ようなるといわず白峰はきのえをみつめた。
初めての異物がきのえの中に今まで知らなかった感覚をしらせる。
それは、たとえ、どんな女であろうと、
どんなに拒もうとも主の意志に拮抗する女の身体の不思議である。
わずか、半刻の間の連動にさえ、
きのえの表情にこの不可思議に屈服する物が表れることを見逃すまいと、
白峰は緩やかな蠢きを崩さぬまま、きのえを見詰続けていた。
『喩え、初めての事であろうと、身体が女に成る以上、なった証しをみせてくる』
ふと、きのえの苦痛を訴える声がよわまる。
証を見せだしたきのえの身体は、じきに掌を返したように白峰の挙動に喘ぐだろう。
大きな鎖から解き放たれたきのえと知った白峰は
確実に我が物に落とし込むための穿ちを与えつくす。
己の身体が己を裏切りだす。
裏切った身体がいずれきのえを支配する。
支配されずに置けぬほどのきのえを作るためにも、
白峰は甘言を囁き、きのえの魂ごとほだそうとする。
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