サハリン・樺太へ旅行するため、先日、北海道の稚内市に初めて入った。日本の最北端である。稚内は人口の減少が著しく 、5万5千人ぐらいいたのが今や3万8千人を割っているそうだ。典型的な過疎地域である。 200海里規制でスケトウダラ漁業が大打撃を受け、さらに酪農の廃業が進んで不景気となり、就職が難しくなった若者たちが外へ流出しているそうだ。つい最近、某道立高校も廃校が決まったという。町を歩いていても本当に人影が少なく、わびしい気持になってしまった。
観光バスに乗って稚内公園、宗谷岬などを見て回ったが、景色は素晴らしいものがある。さすが北海道だ。稚内公園には樺太島民の慰霊碑である「氷雪の門」、終戦時に樺太・真岡郵便局で集団自決した「9人の乙女の碑」などが建っており、それらに参拝した。日本の最北端である宗谷岬にも、いろいろな碑、塔などが建っている。この地方の代表的な観光コースだ。
稚内から今のロシア領サハリン(樺太)までの距離はわずかに43キロ、外国に最も近い所だ。 私がある店で昼食にラーメンを注文していたら、いかにもロシア人らしい若い女性が2人、すぐ隣の席に着いた。どう見ても学生風である。留学生だろうか。 稚内にはロシア人がかなりいる。ロシア人専門のショップや料理店もある。やはりサハリンに近いので、相当な数のロシア人が来るらしい。交通標識にもロシア語が書かれているのだ。
旧ソ連時代は、日ソ間の人的往来はほとんどなかった。しかし、ソ連が崩壊しロシア連邦が誕生すると、日ロ間の交流が飛躍的に進んだという。稚内はサハリン州の幾つかの都市と姉妹都市関係を結んだりしている。ロシアへの北の玄関口と言えるだろう。 また、礼文島や利尻島への発着地でもあり、フェリーで往来することができる。私が稚内駅の構内に入ってすぐに目についたのが、これらの島を舞台にした映画の写真パネルだった。 『北のカナリアたち』という題名だったが、最も好きな女優が写っていたので写真を一枚パチリと撮った次第である。なんだか観光案内みたいになってしまったが、これもサハリン入りへの序幕なのでお許し願うとしよう。
稚内駅前。早朝だが人通りが少ない
駅構内の写真パネル
「氷雪の門」の前にて
「9人の乙女の碑」
日本の最北端・宗谷岬