読書感想19 サイゴンの悪夢<o:p></o:p>
著者 : 佐伯泰英<o:p></o:p>
生年 : 1942年<o:p></o:p>
出身地 : 北九州市<o:p></o:p>
初版年 : 1995年(平成7年)<o:p></o:p>
「背徳の標的」として出版。<o:p></o:p>
出版社 : 祥伝社<o:p></o:p>
「祥伝社文庫」として出版。<o:p></o:p>
価格 : 667円(税別)<o:p></o:p>
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あらすじ<o:p></o:p>
犯罪通訳官の安奈は、来日中のスペインの舞踊団のプリマ・ダンサーのホアキイナから舞踊団の中に殺人犯が紛れ込んでいるという相談を受ける。前任の打楽器奏者が轢き逃げされ、新しく雇われた打楽器奏者のナノがその殺人犯だという。13年前ホアキイナが子供のときに目撃した銀行強盗の仲間を殺したベビーフェースの中国人の郵便配達こそナノであり、ナノは拳銃を試射したうえで舞踊団の楽器の中に隠したのを目撃したという。<o:p></o:p>
ホアキイナがこっそり掘り出した試射した弾丸は特殊なプラスチック製の拳銃から発射されたものだった。スペインで秘密に開発されて、まだ市場に出回っていないプラスチック銃とプラスチック爆弾が日本に持ち込まれたのだ。しかし、ナノの荷物の中からはプラスチック製の銃も爆弾も発見されなかった。ナノは警察の厳重な監視下に置かれた。そんな中、ドン・キホーテの舞台のカーテンコールでポアキイナは細い針で首の後ろを刺され絶命した。ナノにはアリバイがあった。誰が殺したのか。<o:p></o:p>
ナノはヴェトナム出身で7歳のときに両親を北ヴェトナム軍に殺され、その復讐から北ヴェトナム軍やヴェトコンを殺して政府軍やアメリカ軍から賞金をもらうプロの殺し屋として生計を立てていた。幼いナノに殺しの技を教え込み、サイゴン陥落の時にナノを置き去りにしたハーディング少佐はヘリコプターの事故で死んだと報じられた。<o:p></o:p>
しかし裏切り者のハーディング少佐が生きていたともらしてナノは今度の公演に参加したという。<o:p></o:p>
ナノのターゲットは絞られた。ハーディング少佐は誰なのか。どこに拳銃と爆弾を隠したのか。<o:p></o:p>
舞踊団の最後の公演が東京文化会館で行われる日が近づいてくる。<o:p></o:p>
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感想<o:p></o:p>
政治的なテロのネットワークは時代が変わって犯罪のネットワークに衣変えして延命している。そしてヴェトナム戦争が終わっても、清算されない過去を抱えた人が過去の闇の中の犯罪を闇の中で裁こうとする。法律の枠の外で生きているから法律に訴えることができない。国家自体も過去の闇の中の犯罪を白日の下に晒すよりは、闇の中で処理することを選択する。そしてテロを側面から支援することになる。<o:p></o:p>
日本でも本格的な国際的なミステリー小説が出てくるようになったんだという感慨を抱いた。<o:p></o:p>
ただ「警視庁国際捜査班」という組織は架空の組織なのだろうと思うが、似たような組織はあるのかもしれないが、よくわからない。小説なので実際よりはるかに格好いいと思う。<o:p></o:p>