読書感想102 タイガーズ・ワイフ<o:p></o:p>
著者 テア・オブレヒト<o:p></o:p>
生年 1985年<o:p></o:p>
出身地 ユーゴスラビアのベオグラード<o:p></o:p>
1997年からアメリカに移住。<o:p></o:p>
出版年 2011年アメリカで出版<o:p></o:p>
邦訳出版年 2012年<o:p></o:p>
邦訳出版社 (株)新潮社<o:p></o:p>
翻訳者 藤井光<o:p></o:p>
受賞歴 2011年のオレンジ賞<o:p></o:p>
2013年本屋大賞翻訳小説部門第一位<o:p></o:p>
感想<o:p></o:p>
舞台は解体され、各民族国家に分裂した旧ユーゴスラビア。ベオグラードに住んでいる女医のナタリアは、12年前までは同じ国だった隣国の孤児院にワクチンを届けようとしている時に、やはり医者だった祖父の死を知らされる。祖父も国境を越えた今は外国になっている診療所に出かけていて亡くなったのだ。ナタリアは祖父から聞かされた「虎の妻」と「不死身の男」の物語を思い出しながら、祖父の人生を理解しようとする。今は外国になっている祖父の故郷の山村で起きた出来事が「虎の妻」の物語だ。爆撃されたベオグラードの動物園から逃げ出した虎が山村の聾唖者の少女と出会う。聾唖者の少女は肉屋の妻で、夫から虐待され、イスラム教徒であるゆえにキリスト教徒の村で異端視されている。そんな彼女が虎に豚肉を与えて可愛がり、虎を村人から守ろうとする。「不死身の男」は死んだはずの男が棺から起き上がる。そしてその男は人間の生死が分かると言う。<o:p></o:p>
ユーゴスラビアの戦禍と民族的宗教的な反目がよくわかる。特に「虎の妻」は半分家畜化した孤独な虎と、孤独な少女の交流が心に沁みる。
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