読書感想287 眠る狼
著者 グレン・エリック・ハミルトン
出身地 アメリカ、ワシントン州
受賞 アンソニー賞、マカヴィティ賞、ストランド・マガ
ジン批評家賞最優秀新人賞
出版年 2015年
邦訳出版年 2017年
邦訳出版社 (株)早川書房
訳者 山中朝晶
☆☆感想☆☆
「家に帰ってきてほしい、できることなら。」というアイリッシュ・ゲール語で書かれた祖父のドノからの手紙を受け取ったバン・ショウ軍曹はドイツの陸軍基地でリハビリをしながら内勤勤務についていた。退屈していたバンは休暇を取って10年ぶりにシアトルに戻ってきた。深夜に祖父の家に着いたバンが見たものは頭から鮮血を噴き出して倒れている祖父の姿だった。そして家の裏手から慌てて駆けていく足音だった。
誰がどんな理由で祖父を殺したのか、バンの捜査がはじまる。そこでドノの職業が鍵となってくる。泥棒だが、ここ何十年と捕まらないほど腕をあげていた。ドノの仲間の密輸業者ホリス・ブラント、ジミー・コーコラン、ウィラードやドノとバーを共同経営していたアルビー・ボイランとその姪ルース、盗品を買い取る故買屋オンディーン・ロングなどをあたり始める。一方、幼馴染のディビーやその家族(妻ジュリエット、母エブリン、弟マイケル)にも慰められる。祖父の遺言を伝える弁護士エフライム・ガンツが登場してドノの泥棒技術のすべてを伝授されたバンの推理が光ってくる。
内密の会話や伝言に少数言語が使われるという設定が移民の国、アメリカらしく面白い。