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シャボン玉
ストローの息に
虹がかかる
ゆらゆらとぽつぽつと
光の橋をわたる
虹は
たったの六ペンス
触れると壊れる
ストローのさきを伸ばす
星まで届いたら
その日のトリップは終わる
小さな息つぎにも
虹がかかる日があった
*
紙ヒコーキ
空に放った
思いをのせた言葉のように
紙は
風のままに浮くことをやめて
折られて指のさきへ
みずから真っすぐに飛んだ
山をこえ海をわたる
鳥にはなれなかったけれど
翼のままで紙は
ひととき空の
美しい希いとなった
*
竹トンボ
すいーっと水平に
赤いトンボが
いくども記憶の空をよぎった
ハルジオンの花の上を
シロツメグサの草の上を
プロペラの竹になって
赤いトンボを追った
そうして竹は
羽になった
風になった
記憶の空の果てまで飛んで
我に返って
トンボになった
*
紙フーセン
高みへ高みへと
打ち上げるそれは
紙に包んだ
一匁ほどの願いごとだった
風の声にさそわれて
その日
ふたつの手をはなれ
ひとつになって昇っていった
あれから
ふと空を
見上げたくなるときがある
ぱんと音がして
紙フーセンのやわらかい手が
雲の背中を打っている