風の記憶

≪記憶の葉っぱをそよがせる、風の言葉を見つけたい……小さな試みのブログです≫

新しい朝を運んでくる

2019年07月01日 | 「新エッセイ集2019」
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ことしも朝顔の花が咲いている。
毎年おなじ朝顔のタネだから、いつもと同じ形と色の花が咲く。変わりばえはしないが懐かしい。同じ顔にまた会ったねという感じ。
朝顔は、大きく口を開いたような花の形が「おはよう」と言ってるようにみえる。
きょうは良いことがあるかも、と言ってるようにもみえる、などと勝手な解釈をしてみたくなる。朝の気分を明るくしてくれる花だ。

朝顔は常に明日というものを秘めている。
すでに次の蕾が、あした咲く花の色をのぞかせて、あしたの朝を待っている。膨らんでいく蕾に予感と期待のようなものを包んでいる。そのことが嬉しい。
過ぎ去ったことばかりを振り返ってしまい、わくわくする明日というものがなかなか見つけられない。そんな後ろ向きな日常の生活態度を反省させられる。

朝顔は毎朝新しい花が開く。新しい朝がある。
何もないところに何かが生まれる。それが花の不思議だ。そのような不思議な力を、こころの底で欲している。
朝顔の花が咲いたなどと、とるに足りないことかもしれない。
しかし、その些細なことを誰かに伝えたい。だれか大切なひとに伝えたい。その伝えたい気持に燃えてみたい。
朝顔の朝は、そんなぼくの心の花も開いてくれる。


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