風の記憶

≪記憶の葉っぱをそよがせる、風の言葉を見つけたい……小さな試みのブログです≫

ぼくのトンボ

2021年04月28日 | 「新エッセイ集2021」

 

ちびた鉛筆
のようなトンボが
風をひっかきひっかき
ぼくの背たけを測ろうとする

きょうのぼくは
すこし大きくなったかな

朝ごとに
ぼくのトンボは生まれてくる
水草の夢の
どろんこの中から

春の野は花ざかり
甘い香りに満ちているので
トンボはしばしば
風を見失う

ぼくは腕を伸ばして
背伸びしてみる
だが羽が濡れているので
まだ飛べない

 

 

 

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