花もないベランダがさみしいので、せめて草ばかりでもと、花ニラの鉢で葉ばかりが繁茂するのを放置していた。
そこにいつからか、どこからやってきたのか、1匹のバッタが住みついているのがわかった。
イナゴかキリギリスかトノサマバッタか、昆虫に疎いぼくには判別できないので、とにかくバッタだということになっている。
そんなバッタが、寒い冬まで生き延びるなんて知らなかった。
イソップ寓話のキリギリスだって、
「そしてとうとう、寒い寒い冬がやって来ました。野原の草はすっかり枯れ果て、キリギリスの食べ物はひとつもなくなってしまいました。」
ということで、働き者のアリに食料をねだりに行くが断られ、ついには寒さと飢えで死んでしまうのだ。
さいわい、わが家のベランダは日当たりは良いし、大阪の冬は寒さもそれほど厳しくはないので、バッタ君も花ニラの葉っぱの上で温まったり、草の中に潜って風を避けたりしながら、いまのところなんとか生き延びているようだ。
どのように保護してやれば良いのかわからないし、今の環境にも慣れていくのかもしれないので、バッタ君には頑張って冬を越してくれと、ただ見守るしかない。
春よ来い、早く来いと、寒さで弱っているぼくも、いまは一日も早く冬から脱出したい。