詩歌探究社 蓮 (SHIIKATANKYUSYA HASU)

詩歌探究社「蓮」は短歌を中心とした文学を探究してゆきます。

詩歌採集 1054 菱川善夫

2018-07-28 12:34:34 | 詩歌採集
          

    以後われは暗察者の道えらびたり銹びしピストル胸奥に秘め                   (『菱川善夫歌集』 菱川善夫)

 『敗北の抒情』、大変面白い。これこそ評論!という感じがする。上記の歌は死後、遺族によって出された菱川善夫唯一の歌集の一首だが、菱川は生前短歌を自ら公にすることはなかった。歌に詠まれているように、歌人兼評論家ではなく、評論家のみで生きてゆこうと決めたからだ。それが、「暗察者」、つまり暗闇からじっと観察する者ということだ。菱川のような、評論専門の者がいないことも、現代短歌がよくならない一因であるだろう。ほんとうに平等な立場でものを言うことが、歌人には難しい。それは結社や同人誌に所属しているとなおさらだし、個人で活動していても人間関係なしに活動することは難しいという短歌の世界の(他の世界も同様かもしれないが)「しがらみ」があるからだ。勿論それのみではないだろうが。
 菱川を輩出した「短歌研究」の評論賞を受賞するのはほぼ歌人(上田三四二すら歌人)だ。菱川のように、「評論一本でゆく!」という覚悟をもつ評論家が現れたら、面白いのに・・・。
 一番最初の「敗北の抒情」の論点の重要なところは、また別にあるのだが、ここに、茂吉は『赤光』、晶子は『みだれ髪』、白秋は『桐の花』が、断然よい、とはっきり書いてあって、嬉しい。その歌人に詳しい歌人ほど、それぞれ、他の歌集の方が、ほんとうはいいのだ、と言う。そうかなぁ・・・と常々思っていたのだ。第一歌集がよいということは、まるで、「若い女(男)がいいよねぇ」と若さ至上主義みたいな、浅いものの見方をしているようで、恥しいのかもしれないが・・・。確かに、若いときのものばかりがよい、というもの淋しい事には違いない。しかし、私は、塚本邦雄に関しては『水葬物語』よりも、中期以降の方が面白いと思う。まだ、読みはじめたばかりだから、後には違う感想になるかもしれないけれど・・・。




文庫本・小泉千樫 他

2018-07-28 10:07:32 | 短歌情報
          

 東京は台風模様です。以前申し上げた「新企画」の第一段階も終わって、しばらく時間があるので、読書をしています。『塚本邦雄の宇宙』(菱川善夫)を読んで以来、塚本邦雄歌集や菱川善夫の評論集を読もうと思って、『魔王』『不変律』『水葬物語』『献身』(すべて漢字は正字)とアトランダムにオリジナル版を、『現代短歌美と思想』『敗北の抒情』、これもオリジナル版を読んでいます。オリジナル版は豪華で、全て古書なので、古びたところも味があって楽しいのですが、重くて、手が疲れ、肩が凝ってしまいます。昨日久しぶりに美容院に行って髪を切ったら、美容師さんに「相当凝っている」と言われました。髪は一年か二年に一度、短くして、あと伸ばしっぱなしで、今回はあまり短くせず後ろが肩にかかるくらいに切りました。芸能人でも、いつも髪型が違うひとといつも同じひとといますが、私は、「いつも違う」タイプです。話がそれましたが、肩が凝るので、合間に文庫本も読もうと思って二冊アマゾンに注文しました。岩波文庫『小泉千樫歌集』と中央文庫『日本の詩歌(6)島木赤彦、小泉千樫、中村憲吉、土屋文明、岡麓』です。塚本邦雄から、いきなり岡麓です!渋いですね。板橋歌話会で、次回がら、この辺りをやるかもしれないとのこと、少し読んでおこうかと・・・。そう、報告が遅れましたが、先日の板橋歌話会ですが、開催時間の前に東武東上線で車両故障があり、交通手段が途切れてしまい、出席を諦めた方が多数で、始まって以来という程の少人数だったのですが、奥村晃作氏の石川啄木『一握の砂』、石川幸雄の田島邦彦の話、とても良かったと好評でした。田島氏はシャイな方だったので「オレの話・・・よせよ・・・もう、いいよ・・・」と、照れて電車を止めたのかもしれませんね。交通不便のなか、猛暑のなか、ご参加くださった皆様、ありがとうございました。

 最近「鳥は?」と思われている「鳥ファン」の方、鳥の写真、なくてごめんなさい。鳥撮りはほんとうに楽しくて、永遠に鳥を追いかけていたい気もしますが、四年半前、東京に(帰って)来た私は、やっぱり短歌をやらないといけない、自然のなかで鳥を撮るなら、東京に来なくても良かったわけで、私はやっぱり、ここで、がんばって、短歌に専念しなければ、と思います。だから、「鳥撮り」は石川幸雄にまかせることにしました。石川は、まさか、今日、台風のなかは行っていないでしょうが、猛暑でも出かけて「鳥待ち」をしているようです。その成果はまた、秋ごろに発行予定の石川幸雄の個人誌「晴詠(SEIEI)」にて披露されますので、どうぞお楽しみに。『猛禽歌集』まだ、若干残部がありますので、ご希望の方は、ブログのアドレスまでご連絡ください。一部1000円(送料込)にてお分けいたします。



蓮の花

2018-07-28 08:02:52 | 短歌情報
      

 東京は台風模様ですが、庭の蓮がふたつめの蕾をつけました。ひとつめよりはかなり小さいですが、雨風のなか少しだけ開いています。クリスタルビューティという咲き始めや曇りの日は白っぽく、やがてクリーム色になる品種です。残念ながら同時に育てている紅(ピンク)の小舞妃は、今年は蕾をつけません。葉ばかり繁り、少し葉を整理したのですが、ダメなようです。2016年の五月に植えてそのままなので、育ちが良い小舞妃の方は、根が育ちすぎて、小さな鉢が限界になり、上手く花を咲かせることが出来ないのかもしれません。冬になったら、泥からあげて、根分けをするか、大きな鉢に植え替えるかすれば、またきれいに咲くのでしょうか。小さい鉢がいくつも増えると水やりやボウフラ対策のメダカなど管理が大変なので、方法としては、大きな鉢というか、長方形の大きなプラスチックの入れ物を置いて、庭に小さな池みたいなものを作れば良いと思われます。そうすればのびのび育ってたくさんの花を咲かせることでしょう。しかし、もう、これでお終いでもいいのかなぁ・・・とも思ったりもして・・・。レンコン(根)自体は、それぞれ1000~1500円くらいだったのでもう、3年間楽しんだので充分、ありがとう、ということで、お終いにしようかなぁ。同人誌「蓮」も終刊したしなぁ。ああ、それで同人誌「蓮」のシンボルともいうべきピンクの蓮の花は咲かなかったのかな。「蓮」は緑とピンクの華でした。私、ほんとうに一生懸命手入れをして育てたのですよ。だから、もう、いいかな。クリスタルビューティは今年も咲いたので、可哀想な気もしますが、冬に処分するなら、「もろともに」です。蓮と蜻蛉の絵柄の鉢の方は、他に使えるので、世話のいらない多肉植物でも放り込んで置けば良いかな・・・。こんなこと、蕾のクリスタルビューティーに聞こえたら、悪いですね。植物は、声や音、そして「気」のようなものが伝わるそうですから。モーツアルトを聴かせると良い、とか、話しかけるとよい、とか言いますよね。いま、これから咲こうというのだから、処分の話をしてはいけませんね。きれいに咲いてくださいね。
 そう、玄関のシンボルツリーの檸檬も、育ち過ぎて、道路に傾いて、大変なことになっていて、この木も、そろそろ、どうにかしないとダメです。沢山花が咲いて、現在五十くらい青い実をつけていますが。大胆に伐るか、植え替えしないとどうしようもない。これも冬に考えます。