詩歌探究社 蓮 (SHIIKATANKYUSYA HASU)

詩歌探究社「蓮」は短歌を中心とした文学を探究してゆきます。

知らない人にお金を貸すの巻

2021-03-29 13:54:22 | 千駄記

千歳櫻というそうです。
通りすがりに見つけました。
まだ一輪も咲いていないところが絵になる。
エドヒガンで樹齢は850年ほどとのことです。


3/29(月) 晴。

ポカポカする今日です。
午前中は試作品をああじゃないこうだろ?と話し合う。

お昼になって工場の前で一服していると
小さなおじいさんが声をかけてくる。

おじい:鴻巣免許センターまで歩いたらどのくらいかかる?
わたし:ええ?歩く距離じゃないな。
おじい:川口から歩いてきて疲れちゃったぁ。
わたし:なんで歩いてんのよ。方角も違うよ。

要は今朝早く栃木県から川口安行に植木を見に来たのだという。
ネットで調べたら有名らしいのでって。
違法駐車していたらしく、クルマに戻るとクルマがない。
レッカー移動されたのだという。クルマの中に財布も何もかも
入れっぱなしなので鴻巣まで行く金もないのだと。

わたし:警察が貸してくれるんじゃないの?
おじい:いや、貸してくれるのは500円までで。それじゃ、鴻巣に行けないし。
わたし:でも、変だよな。行きようがないじゃん。

話している内に「おじさん、乗せてってくれない?」と本題になった。
「おじさんじゃねーだろ!」と否定し「おにいさん」と呼ばせた。
いや、暇だったら行ってやるけど、クルマでも1時間はかかるよ。
仕事が終わるまで待ってるという。仕方ねーな、乗せてってやるよ。
ということになっちゃった。

おじい:待ってる間、仕事手伝うよ。
わたし:金属扱ってるから危ないよ。と断る。

で、話している内に「おじい」が「おばあ」だと知る。
鴻巣免許センターに持っていかれたのはワーゲンゴルフだって。

わたし:へえ、洒落たの乗ってるじゃん。
おばあ:服はこんなだけどね、クルマは洒落てんのよ。
おばあ:仕事何時まで?
わたし:17:30だけど18:00くらいかな。早くても。
おばあ:そんなに遅いの?
わたし:しょうがないじゃん。ここの社長なんだから。
おばあ:社長なの!?じゃあ待ってるよ。ほんとに送ってってよ。
と、指切りげんまんさせられる。
指切りげんまんしたのって何十年ぶりやろか。

でもまだ半日あるしな。ジュース買う金もないって言うし、
タバコ2本くれっていうから、あげたんだけども。

そうだ、鴻巣までの電車賃を貸してやればいいんだ。
と、ようやく気付く。おばあは日大を出ていて、いまは
水泳教室の先生をやっているという。
そんな感じにゃ見えないけどもな。

わたし:待ってるのも大変だろうから、金貸すよ。
と申し出る。

おばあ:ええほんと?必ず5時半までに戻ってきて返すから!
と歓んでいる。2000円くらいと思ったんだけど
ポケットには珍しく5000円札しかなくて、それ貸しちゃったよ。
電話も名前も聞かなかったけど。
果たしておばあは戻って来るでしょうか?


おしまい。