ピーナッツの唄

毎日の出来事や、スポーツ観戦、読書や映画等の感想を中心に、好奇心旺盛に書いています。

盲ろう者「福島智」さんの事

2007-06-14 18:39:50 | 独り言
今朝の朝日新聞の「私の視点」で、「盲ろう者福祉「通訳者」との出会いもっと」と題する彼の投稿を読んだ。
彼は18歳で盲ろう者になった。その時は周囲の世界が消え、まるで自分だけが暗黒の虚空に浮かぶ、ガラスの壁の牢獄に幽閉されたような、そんな感覚だったと振り返る。

目が見えなくて、同時に耳も聞えない人を「盲ろう者」と呼ぶ。
障害の程度等により、抱える困難や会話法は違うが、日本にはおよそ1万3千人がいるとされる。
テレビにたとえると、画面が見えて音が聞えないのは、「ろう」の人だ。
逆に、音は聞えるが画面が見えない人の状態は、「盲」の人だ。
そして「盲ろう者」の世界はどうか、それは画面も見えず、音も聞えず、まるでテレビのコンセントが抜けているしまっている世界である。

福島さんの場合はお母さんが考案した「指点字」で救われた。そしてその「指点字」を使って呼びかけてくれる仲間が多く出来た。しかしそれは「話し相手」になってくれるだけで、「牢獄への慰問」に近かった。そんなところに、他人の発言を正確に「通訳」する人があらわれた。
その時から、彼を取り囲む「牢獄」の壁が消えて行った。「盲ろう者むけ通訳・介助」と呼ばれる支援方式の始まりだった。通訳・介助者は盲ろう者と「世界」をつなぐ命綱になった。

小生は10数年前に、実際に彼の講演会に出たことがある。そして出席者との質疑には、通訳介助者の伝達により、即時に彼が応答される事に驚嘆した。実に勉強している事を伺わせる講演内容だった事にも感心したものだ。
その後、彼は東京大学に招かれて助教授になり、バリアフリー論を研究している。

同時に同じ境遇にある、盲ろう者の福祉を訴えて続けている。
 ① 多様な盲ろう者それぞれに適した通訳・介助者の十分な時間派遣。
 ② 通訳・介助者の養成と身分保障。
 ③ 同じ盲ろう者を含めた相談ワーカーの育成。
 ④ 盲ろう者のためのリハビリの場の整備。
リハビリの場とは、盲ろう者が生きる力を取り戻すために、コミュニケーションの技能を身につけたり、パソコン操作や日常生活のスキルを高めたりして就労へとつなぐ取り組みをする事だと主張する。
  
単一の視覚障害者と聴覚障害者のはざまで、盲ろう者は長く放置されがちだった。
今日の投稿を読みながら、共生の場とリハビリの場をつくり、1人でも多くの盲ろう者が豊かな人生を送れる様に支援する事が出来ば幸いだと思った。


コメント
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