Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

先輩の意図

2015-10-08 01:00:00 | 雪3年4部(遠藤の~それぞれの意見)
「せんぱいぃぃ!私もうどうすればいいのかぁぁぁ!!」



顔を両手で覆った雪の叫びが、カフェにこだました。

そんな彼女の目の前に居る彼は、ニコニコしながらその話を聞いている。

「過去問のこと、ごめんね。つい話しちゃって‥」

「あぁぁぁ思わぬ伏兵がぁぁぁ」



思わぬ伏兵‥それは青田淳のことだった。

彼から貰った過去問のせいで、悩みの種が一つ増えたのだ。

それでも、優秀な人の過去問を貰えたこと自体は素直にありがたい。

いいえ‥過去問ありがとうゴザイマス うんうん



淳は雪の肩をポンポンと叩いてから、机の上にあるカップに手を伸ばした。

ゆっくりとした口調で、彼は自分の思いを口に出す。

「まぁ‥俺もこれ以上あの子達に良くしてあげる必要性を感じなくて‥もう会社勤めしてるわけだし



そして淳は雪のことを見つめながら、さりげなくこう提案した。

「この際、上手く利用してみたらどう?」

 

雪は目を丸くした。

もしやもしやと思っていたことが、グレーからブラックへと舵を切る。

この人‥わざとだったのか‥



目を白くしている雪のことを、淳はじっと見つめながらカップに口を付けた。

試すような、少し観察するような、幾分含みのある視線を投げかけながら。



雪は別段、それに対して問い詰めることはしなかった。

心のどこかで「やっぱり」と、彼の意図を見抜いていた部分があるからだ。



けれどそれ以降、二人はもうそのことには触れずに、ただ世間話をしたりして時を過ごした。

ガヤガヤとした喧騒に紛れる二人の会話‥。







カフェを出た二人は、秋の夜道を歩きながら、また色々な会話を重ねた。

しかし雪の内心はソワソワし始める。



携帯を取り出して時刻を確認すると、既に20時15分。

今から家に帰ったとしても、軽く22時は超えてしまうだろう。

もうこんな時間‥



22時過ぎに帰って、そこから勉強スタートだ。

鞄の中にギッチリ詰まったテキストは、雪を焦燥に駆らせる。






淳はそんな雪の様子を目にして、こう言葉を掛けた。

「最近忙しそうだね」「あっ‥まぁ‥」

「うーん‥」



「もうちょっと会う頻度減らす?」



その彼の提案に雪は目を丸くし、思わず彼の方を向く。

いいの?それじゃちょっとー‥



減らしても構わないなら、正直助かるー‥。

そう思いながら、先輩の方を見上げると‥。



しゅん‥



先輩は、見るからに寂しそうに項垂れていた。

思わず目が点になる雪。



そして見る間に、淳の顔がだんだんとふくれっ面になる。

そんな彼を見て、雪は慌てて声を上げた。

「え?あぁぁぁ‥そのぉぉぉ‥



「そ、そこまでする必要ないですよ~!ま、臨機応変で!

「そう?」



雪がそう返すと、淳はニカッと笑って顔を上げた。

「毎日会うわけじゃないんだしね」

「ですよ!」



というわけで、二人のデート頻度は現状維持に留まった。

淳はゴキゲンに、雪は合わせて笑いながら、二人並んで歩く‥。

でも今日はもう帰ろうか

はい フフ








小一時間後、車は雪の家の近くに停車した。

雪は鞄から財布を出すと、用意してあったお金を掴んで彼に渡す。

「これ、ガソリン代です」



雪からそれを掴まされた淳は、思わず目を丸くした。

「え?これ‥。いやちょっと待ってよ‥」

 

そう言って顔を上げた淳の目の前には、指でバッテンを作り、首を横に振る雪の姿があった。

断固拒否



こうなってはどうやっても返せそうにない。

「ダメですよ、ダメ。もう受け取ったでしょ



淳は不本意ながら、お金と共に彼女の律儀さを受け取る。

そして雪はシートベルトを外すと、そのまま車外へと出た。

「それじゃ行きますね。

気をつけて帰って下さい」







淳は車内を覗く雪を、微笑みながら見つめていた。

付き合いも深くなった現在でも、彼女の律儀さは健在だ。

彼はそんな彼女に、一つアドバイスを与えてやる。

「考えてごらん」



「どんなにいがみ合ったとしても、最後は皆実利を選んで収まるものだよ。

それは雪ちゃん、君にも良く分かるだろ?」








”青田淳から貰った過去問”を巡って、雪の周りの人間が動き始めた。

上辺だけの笑顔と耳あたりの良い言葉は、きっと彼が今まで晒されてきたもの‥。

「‥分かってます」




雪は彼の意図に触れた後、一人こう考えていた。


そういうことは、既に先輩の周りで十分に目にして来た。

彼らがどれだけ要領良く立ち回るかということは、誰より良く分かってる。




それが悪いことだとは思わない。

ただ、




もう少し賢明に対処してみようと思っただけ。





物事の先を読み、動かす、先輩の意図。

雪は全てを知っていた。

それを受けて、周りがどう動いていくかということも。

そしてそれを知った上で、彼女なりに動いてみようと思ったのだ。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<先輩の意図>でした。

「過去問を雪にあげた」と、淳はわざと言ったんですね~‥意図を持って。(@@;)

昔ならまた喧嘩になっていただろう事実ですが、雪ちゃんはもう慣れっ子で‥。

彼の性格や考えを受け止めた上で、自分なりにどう対処しようか考えるんですよね。

先輩、雪ちゃん離しちゃあかんよーー!


次回は<主導権を握って>です。


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遠藤助手の気遣い

2015-10-06 01:00:00 | 雪3年4部(遠藤の~それぞれの意見)



チーズインザトラップ 4部

始まります。




                   





天高く馬肥ゆる秋。

穏やかな晴天の下で、彼女は熱心に勉強をしていた。



A大学経営学部経営学科。

教授の話を聞きながら、今日も熱心にノートを取る。



赤山雪、二十三歳。

切れ長の目が、ふと気になった窓辺を眺める。



学生達がまばらに座った教室の風景。

その向こうに、ロールスクリーンが下りた窓が見える。






眩しい外の風景は、切り取られて少ししか見えなかった。

その少しだけの景色を目に焼き付けた後、再び雪は机に齧りつく‥。






三年生のニ学期もすでに半分が過ぎ去った。

就活戦線に入り込んだからか、皆どこかソワソワし始めている。




そしてその”ソワソワ”は、時に人の焦燥を駆り立てる。

「ぶっちゃけ、過去問さえ覚えれば合格なんでしょう?

それってちょっとひどくないですか?」




糸井直美は、苦い顔をしてそう口にした。

視線の先には、教授助手・遠藤修の姿がある。

「過去問の踏襲なんて、大学の質を下げるだけです!」「そうですよ!」



ムッツリと黙り込んだ遠藤の前で、糸井直美を始めとした女学生たちが抗議を始めた。

「教授に話してみて下さいよ~」「そんなの弁別力が落ちる元ですよ!」



わいのわいの騒がれ、遠藤は煩そうにその不機嫌を顔に出す。

「あーったく!過去問なんて無くても、勉強さえちゃんとやってりゃ合格する!

勉強もせずに過去問持ってる人間探しか?」




遠藤の言葉に、直美は彼から目を逸らして口ごもった。

「そうじゃなくて弁別力は‥」

「どうせ卒業試験はお前らが一、ニ年の時に習った所から出るんだ!」



「俺の言ってることは間違ってるか?」



押し黙る女学生達。

遠藤はダメ押しとばかりに、彼女達に向かって言葉を続けた。

「つーかまだ試験も受けてないのに、過去問と同じ問題が出てくるって言い切れるか?」

「いえそうじゃないですけど、小耳に挟んで‥」

「それに教授、新しく問題を作り直してるっぽかったぞ?

そうなると過去問と全く違う問題になるかもしれん」


「本当ですか?」「ああ!」



そして遠藤は彼女達の性質と、その本心を見抜いてこう言った。

「お前達なぁ、自分達が持ってりゃ何も言わないくせして、

他人が持ってたら不公平だ何だ文句言うのか?」




「そういうことだろ?」

「それは‥」



直美は言葉に詰まって言い返せなかった。

遠藤は呆れた顔をして、彼女達から背を向ける。

「ったく‥いい年してこんなことで談判か。

お前らこんなことしてる間に就活の準備でもしろよ。時間なんてあっという間に過ぎるぞ」


「あ、遠藤助手ー‥」



そしてまだ何か言いかける直美に、遂に遠藤がキレた。

「まだ何かあんのか!!何だ?!あぁ?!

「い、いえっ!」



その遠藤の剣幕に、皆尻尾を巻いて逃げて行った。

彼女達の後ろ姿を見ながら、遠藤はチッと舌打ちする。



‥さて事務室に帰ろう。

そう思った時だった。

「コンニチハ‥」

「うおおおっ!!びっくりしたぁぁぁっ!!!」



音も無く現れた雪の姿に、遠藤は心の底から驚いた。

そんな彼のリアクションを目にして、雪は気まずそうに俯く。

 

遠藤はキョロキョロと辺りを見回して、先程の女学生達が近くにいないか確認した。

しかし雪は遠藤が何も言わないので、そのままくるりと踵を返す。

「では、サヨウナラ‥」「おい!ちょっとこっち来い!」



遠藤は大きな声で雪を呼び止め、雪はおずおずと彼の前に出る。

遠藤が「はあっ」と大きな息を吐いた。



「過去問、青田から貰ったんだろ?」



一呼吸置いた後、遠藤がそう聞いてきた。

先程の遠藤と直美達との会話を聞いていた雪は、とりあえずただ頷いてみる。

「‥はい」



否定されるだろうか、それとも怒られるだろうか?

しかし遠藤の返答は、雪の想定とはまるで違ったものだった。

「そうか。失くすんじゃないぞ」



思わず雪は遠藤を見上げた。

「生産会計と税務のテストは難しいけど、いつも過去問とそっくりだから。

それに木村教授はバケーションのことしか頭に無いから、どうせ問題を新しくはしないさ」




遠藤はそう言った後、先程の女学生らの談判を思い出して舌打ちする。

「フン‥。過去問持ってる人間を追い込むことなんてないだろうに‥」



「あんな奴らのことは気にするな」



そう言って遠藤は息を吐いた。

彼の発する言葉はぶっきらぼうだが、雪に対する気遣いを感じる。

「あんまりおおっぴらには言えないが、

どうせ時期が来れば廻り回って、皆過去問を手に入れるんだ。どうしてあんなことするのか謎だな」




少し棘のある言い方だけれど、彼の言葉は優しかった。

雪は言葉の奥にある遠藤の思いやりを感じて、思わず笑顔になる。



「はい。ありがとうございます」



彼に向かって深く頭を下げて、礼を口にした。

遠藤は雪の気持ちを受け取り、軽く頷く。



雪の抱える色々なしがらみの一端を、遠藤は理解出来るのだろう。

彼はそれ以上何も言わずに、彼女の背中を静かに見送っていた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<遠藤助手の気遣い>でした。

さて!チーズインザトラップ第4部突入です~!

4部のイラストもまた素敵ですね!

どうやらこのイラストは全体像があるみたいですよ。



いつかカラーで見れますかね^^


そして今回。

久々の遠藤さん登場でしたね。しかも雪のことを庇ってくれて、直美に辛辣に当たってくれて‥

久しぶりに秀紀兄さんも見たいトコロですね‥もう出てこないのかな‥秀紀兄さん‥


次回は<先輩の意図>です。


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