Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

逆転(2)

2016-08-09 01:00:00 | 雪3年4部(忠告と真実〜二人の休日)
二人は場所を変えて話し始めた。

過去問盗難事件の真犯人について、雪は持論を展開する。

「‥だからそういうわけで、どう考えても犯人は健太先輩なんですが、

残念ながら証拠が無くて‥」




「事を荒立ててしまってすいませんでした、直美さん」



そう謝罪を口にした雪に対して、それまで黙って話を聞いていた直美は食って掛かった。

「だからってずっと黙ってるつもり?!アンタにも責任が‥」

「はい」



雪は直美の怒りを受け止めながら、事の成り行きを正直に口にする。

「実はどうにか解決しようと健太先輩を問い詰めてみたんですが、

先輩が逆ギレしてもっと大事になってしまったんです。私を押し退けて‥青田先輩まで怪我をして」


「はぁ?!マジで?!青田先輩を?!」



雪が口にした真実に、直美の怒りはどんどん膨れ上がって行った。

「マジでおかしいんじゃないのあの男!

卒業するからって何してもいいっていうの?!それであたしを陥れて‥」







あまりの屈辱に、直美は口元をワナワナと歪ませた。

考えれば考える程、柳瀬健太という人間が憎くて堪らない。

「ああっ!もうむかつきすぎておかしくなりそう!!」



「あたし‥今まで生きてきてこんな屈辱初めてよ。

どうして健太みたいな奴に‥」




「どうして‥」



全身をブルブルと震わせながら、直美は思わず駆け出した。

「我慢出来ない!このままにしちゃおけないわ‥!」

「あっ!直美さんっ‥」



「落ち着いて下さい!」



雪はそんな直美を呼び止めると、強引に振りほどこうとするその腕を強い力で押し留める。

「ちょっと待って。冷静になって考えてみて下さい」

「何を考えろって?!どうして止めるのよ!



「直美さん」



雪は落ち着いた口調で、残酷なまでの現状を冷静に伝える。

「証拠が無いんです。

また心証だけで問い詰めても、皆を疲れさせてイライラさせるだけです。

直美さんにもよく分かるでしょう?」




雪からそう言われ、直美は思わず言葉に詰まった。

二人の脳裏に、心証だけで騒ぎ立て、問題が肥大してしまったあの出来事が浮かぶ。

「それ本当?雪ちゃん‥ちょっとひどいんじゃない?同じ学科の同期同士で‥」

「女ってこえー」「あーうるせー。つまんねーことで喧嘩すんなよ」



清水香織を巡って起こったあの一連の事件。

確証も証拠もないままに、溝だけが深まって行ってしまったあの日々が思い出された。

「あんな晒し者みたいにして‥恨みでもあるの?同じ学科の仲間じゃない!」

「それは‥」「だって、直美さん!」



「清水のしでかしたことには賛成しかねるけど、衆人環視の中でフルボッコはなぁ‥」

「ちょ、レポートパクったのもアリだって?」

「パクったのは勿論ナシだけど、皆が見てる前で晒すのはちょっとさぁ‥」



「だから私が盗んだってワケ?随分容易く人のことを変人扱いするのね?

証拠も無いのに、私のことが嫌いだからって意地を張るのは止めてくれる?

皆試験期間中だっていうのに喧嘩売って‥。それってどうなの?」




「雪ちゃんも大概ね。今度は何につっかかってるの?」

「そうよ、試験期間中なんだから止めてよ」



あの事件において、巻き込まれる側の苛立ちと他人事の感情を、

誰よりも分かっていたのは直美だった。

「直美さんが一番よく分かってるはずです」



「‥‥‥‥」



雪から言われたあまりにも図星のそれに、直美は身体を細かく震わせたまま押し黙るしかなかった。

雪の言う事を理解出来る理性と、柳瀬健太を許すことの出来ない感情が、直美の中で真っ二つに割れる。

「ああっ!もうっ‥!」



「直美さん、気持ち分かります」

「あんな奴に騙されて‥!」「そんな風に考えないで」



雪は直美の気持ちを受け止めながら、震える彼女の身体を支えた。

「それじゃどうしたら‥。証拠がなきゃ何も出来ないんでしょ?」

「はい‥残念ながら」



「逆に証拠が無いから、あの人はあんなにも堂々としていられるんです」



雪は直美に顔を寄せると、意味深なその言葉を口にした。

直美はその言葉の中に含まれる真意を、深い所で受け止める。

「‥‥‥」



「そうよね‥」



要は一番重要なのは”証拠”が出るかどうかということだった。

それさえ気をつければ、後は相手を誘導するのみー‥。

「糸井からすげー情報を入手したんだが‥。そんな過去問よりも遥かに良いモンだ」



雪と直美がその会話をした数時間後、柳瀬健太は雪達にそう告げて来た。

皆相手にはしなかったが、健太が去ってからの柳の言葉が耳に残る。

「つーか糸井発のすごい情報ってなんだろな?」



まさか‥?



あれだけ柳瀬健太に憤慨していた直美が、有益になる情報を彼に流したとは考え難かった。

あれからずっと、直美のことが引っ掛かっている。



そんなことを思い出しながらキャンパス内を歩いていると、

視線の先に彼女の姿が映った。



糸井直美。

彼女は雪と目が合うと、視線を外さぬまま軽く会釈をする。



そして何も言わずに、直美は雪の前から去って行った。



「‥‥‥‥」



言葉を交わさなくとも、直美が健太に何を吹き込み、

それが彼の運命を変えることになったであろうことに、雪は気づかざるを得なかった。



証拠も何も出ない心証だけの誘導を、やってのけたと彼女の背中は語る。

予想通り反応する相手も居て





人は一体どのくらいの確率で、自分の思い通りに動くのか。



「卒験、上手くいきました?」

「うん、まぁ‥」



その頃、教養授業の教室では、

小西恵と佐藤広隆が、未だ現れぬ彼女のことを思って会話を交わしていた。

「今日、教養発表の最終日なのに、静香さん結局来ませんね」「うん‥」



恵の言葉に佐藤が頷いた矢先、教室のドアが大きな音を立てて開いた。

バンッ!



「!」



呆気にとられる二人の元に、サングラス姿の彼女はツカツカと近づき、

やがてどっかりと席に就く。



河村静香。

いつも予想外の行動を見せる彼女は、前を向いたまま佐藤に向かってこう話し掛ける。

「今日、この授業最終日なんでしょ?」「え?ああ‥」

「飲み連れて行って」「あ‥」



「あ‥」



佐藤は彼女の横顔をじっと見つめたまま、その真意を組むことが出来ずに困惑していた。

無表情で黙り込む彼女の横顔からは、何の感情も読み取れない。

そうじゃない相手も居る。



まるで予想が付かないその相手。

その最たる者が、河村静香だった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<逆転(2)>でした。

直美、やってのけましたね。健太の行く末が恐ろしい‥

目には目を、の精神がこの作品の根っこのところにありますよね。

雪ちゃんがだんだんと黒淳に似てきたような‥。ブルブル


次回は珍しい落ち込む静香が見られます‥。

<凋落>です。


☆ご注意☆ 
コメント欄は、><←これを使った顔文字は文章が途中で切れ、
半角記号、ハングルなどは化けてしまうので、極力使われないようお願いします!

人気ブログランキングに参加しました
人気ブログランキングへ

引き続きキャラ人気投票も行っています〜!