うさぎ追いし かの山 小ぶな釣りし かの川 夢はめぐりて 忘れ難き 故郷
故郷という字は、「こきょう」と読まれたり「ふるさと」と読まれたりしますが、物想う秋にはピッタリの言葉のように想えます。故郷を思うように、懐かしく、愛おしく思い出せる、そんな場所を見つけたいものですね。故郷を持たない私は、今も「心の故郷」を持ち続けています。
鳴きしきる虫の声を「虫時雨」と言いますが、日本人は虫の鳴き声を左脳で聞く数少ない民族だそうです。右脳しか使わないと、単なる物音や雑音にしか聞こえないけれど、日本人は虫の「声」として聞いているようです。右脳で感じた音を左脳で翻訳し、また右脳で感じるという作業を繰り返しています。それは、相手の言った言葉から、その気持ちをくみ取る作業に似ています。我々は、秋の虫からどんなメッセージをくみ取れるでしょうか・・・・。
「黄昏」は人生の盛りを過ぎた頃の比喩にも使われて、少し寂しい言葉にも聞こえます。街灯もない昔のこと、薄暗い夕闇の中で、「誰そ?彼」(たそかれ)という言葉を交わす時刻から、黄昏という言葉が生まれたそうな。もしかしたら、人生の中で、通り過ぎた人々を「あれはだれだったかな?と振り返る時期・・・・そんな意味も含まれているのかな?