化学物質は、自然界にも広く存在していますが、文明の進歩によって大量の化学物質が新たに合成されており、これらは近年のがん死亡者数増加と無関係ではないようです。
例えば、1965年に認可されたフリルフラマイド(通称:AF2)という殺菌剤は、豆腐や魚肉ソーセージの防腐剤として広く使用されていたそうですが、発がん性があることが判明して1974年に使用禁止になったそうです。
魚肉ソーセージといえば、まだ貧しかった当時の日本において、子どもたちのおやつの定番だったはずで、私もよく食べた記憶があります。
また、合成着色料の食用赤色1号は1965年に、赤色4号・5号は1966年に、緑色1号は1967年に、紫色1号は1972年に、それぞれ使用禁止になっていますが、理由は発がん性だそうで、現在日本国内で使用可能な合成着色料にも発がん性の疑いを持たれているものが多いようです。
こういった合成着色料は、安価で使い勝手がいいことから、子ども向けのお菓子や飲料によく使用されてきたわけで、がんの低年齢化の一因となっている可能性があると思います。
さらに、「内分泌かく乱化学物質」とよばれるものは、子宮がん、乳がん、前立腺がん、精巣がんの原因物質として疑われているそうです。
「内分泌かく乱化学物質」には、医薬品、有機塩素系殺虫剤、PCB、ダイオキシン、アルキルフェノール類などがあるそうです。
なお、アルキルフェノール類は、合成洗剤、塗料、除草剤、殺虫剤などが微生物によって分解されてできるそうです。
また、ダイオキシンについては、食塩などと同様、突然変異した細胞の増殖を促進する「発がんプロモーター」であることも判明しているそうです。
ところで、ダイオキシンというと、ゴミ焼却場が主な発生源だと考えている人が多いのではないかと思いますが、事実はそうではないようです。
1997年に発表された摂南大学薬学部の研究によると、大都市におけるダイオキシン類摂取量の推定値は、98%が食事経由であり、そのうち約60%が魚介類だと報告されています。
また、1996年に発表された横浜国立大学の研究によると、1960年代から80年代初頭にかけて大量に使用された除草剤にダイオキシンが含まれていたそうです。
つまり、かつて日本中の水田がダイオキシンで汚染されたという事実があり、水田から海に流れ出たダイオキシンを魚が食べて、その魚が我々の食卓に戻ってきていることが、日本人のダイオキシン汚染の主な原因だそうです。
以上のことを総合すると、日本人のがん死亡者数は当分増加傾向が続くのではないでしょうか?