最近は、抗がん剤による治療法も進歩して、分子標的薬とよばれる薬が多く使われるようになっています。
分子標的薬とは、がん細胞に特有の分子を見つけ出して、その分子の働きを阻害するように調整した薬のことで、これまでと比べて劇的な効果を発揮する場合もあるようです。
例えば、慢性骨髄性白血病には、イマニチブという分子標的薬がよく効きくそうです。(5年後の生存率は95%以上)
私の父は、肺に線がんが見つかり、それが手術できない位置にあったので、分子標的薬のイレッサを使って治療することになったのですが、その結果、がんがきれいに消滅し、副作用もなかったそうです。
しかし、だからといって、分子標的薬だけに頼るのは問題だと思います。
父の場合は、数年後に、がんが全身に転移しているのが見つかり、それから1年ちょっとで亡くなってしまいました。
まあ、ある程度の延命効果はあったのかもしれませんが、がんの原因を排除しない限り、がんの再発は防げないということだと思います。
以前、がんが生まれたのは「低体温・低酸素状態」という体内の過酷な状況下で細胞が生き延びるために適応した結果だという説をご紹介しました。
これが本当なら、がん細胞だけを敵視する治療法は間違っていることになります。
がんになったということは、これまでの人生が間違っていたということですから、まず最初に生活習慣をすべて見直してから、治療法を選択すべきでしょう。
また、分子標的薬治療を選択するにしても、まず「がん薬物療法専門医」という資格を持った人を主治医に選ぶべきです。
一般に、分子標的薬は正常細胞を傷つけないとされますが、それでもイマニチブに関しては、吐き気や下痢、肝臓や腎臓の機能低下といった副作用が報告されていますし、イレッサに関しては、死亡事故が多発して訴訟沙汰になっています。
くれぐれも、使用する分子標的薬の毒性や副作用について十分に説明を受け、その内容を自分なりに検証してから治療を受けるべきでしょう。