しんぶん赤旗 2013年1月8日(火)
主張
安倍政権の経済運営始動 財界による財界のための対策
安倍晋三政権による経済・財政運営が、今週から本格化します。今年度(2012年度)の補正予算や来年度(13年度)の予算編成が当面の焦点で、税制改革や予算編成に向けた作業もスタートします。「強い経済」の再生を掲げた「日本経済再生本部」や「産業競争力会議」を新設し、民主党政権時代は休止していた財界と一体の「経済財政諮問会議」を復活させるなど、財界による財界のための対策を推進しているのは重大です。
大企業「再生」本部なのか
安倍首相をはじめ全閣僚による「再生本部」は8日に初会合を開き、「経済財政諮問会議」は9日に主要閣僚と財界出身者などの民間議員や日銀総裁が参加して復活後の初会合を開く予定です。「再生本部」のもとには財界関係者なども参加する、「産業競争力会議」が設置されます。「経済財政諮問会議」は経済財政政策の全体を、「再生本部」の下に置かれる「競争力会議」は企業の成長戦略などの対策を検討するとされています。まさに「再生本部」は大企業の「再生」のためです。
「経済財政諮問会議」は小泉純一郎政権の時代を中心に、政府と財界が一体になって「構造改革」路線を推進する“司令塔”となったものです。財界が経済運営全体についてこれほどあからさまに関わるのは例がなく、「財界の、財界による、財界のための」政治だと批判を呼びました。安倍政権では閣僚が参加する「再生本部」と「諮問会議」が連携して司令塔役を果たすとしていますが、「再生本部」に設けられる「競争力会議」にも財界が参加しており、安倍政権の経済財政政策を、事実上財界が牛耳っているのは明らかです。
実際、「経済財政諮問会議」には、東芝と三菱ケミカルホールディングスの社長が財界から民間議員として参加します。「競争力会議」には、長谷川閑史経済同友会代表幹事や経団連副会長らが参加する予定です。小泉「構造改革」を主導したことで有名な経済学者で元小泉内閣の閣僚の竹中平蔵氏も挙がっています。
財界は安倍政権の復活を大歓迎して、新政権への要望を次々突きつけています。経団連は米倉弘昌会長の新年メッセージでも「民間が持てる力を最大限発揮できる環境を早期に整備していくよう」求め、「大胆な規制・制度改革」や「法人実効税率の引き下げ」など、大企業がもっともうけを増やせるようにとの身勝手な要求を並べ立てています。年末に発表した「新内閣に望む」には、原発の再稼働や環太平洋連携協定(TPP)への一刻も早い参加などの要求も並べました。
「競争力会議」に代表幹事の参加が予定される経済同友会も、「年頭見解」で、「民主導による構造改革の再起動を」と求め、「民間人の知見を十分活用するべき」だとあからさまに求めています。
財界中心の政策の転換を
こうした財界の利益を最優先した経済対策では、日本経済の再生は望めません。日本経済は国民の所得が落ち込み消費が低迷して、「停滞の20年」といわれるほど成長が止まった状態です。安倍首相がいうような異常な金融緩和と公共事業の拡大、大企業本位の「成長政策」では、ひずみが拡大することはあっても経済が再生することはありません。財界中心の経済政策の転換こそが不可欠です。
主張
安倍政権の経済運営始動 財界による財界のための対策
安倍晋三政権による経済・財政運営が、今週から本格化します。今年度(2012年度)の補正予算や来年度(13年度)の予算編成が当面の焦点で、税制改革や予算編成に向けた作業もスタートします。「強い経済」の再生を掲げた「日本経済再生本部」や「産業競争力会議」を新設し、民主党政権時代は休止していた財界と一体の「経済財政諮問会議」を復活させるなど、財界による財界のための対策を推進しているのは重大です。
大企業「再生」本部なのか
安倍首相をはじめ全閣僚による「再生本部」は8日に初会合を開き、「経済財政諮問会議」は9日に主要閣僚と財界出身者などの民間議員や日銀総裁が参加して復活後の初会合を開く予定です。「再生本部」のもとには財界関係者なども参加する、「産業競争力会議」が設置されます。「経済財政諮問会議」は経済財政政策の全体を、「再生本部」の下に置かれる「競争力会議」は企業の成長戦略などの対策を検討するとされています。まさに「再生本部」は大企業の「再生」のためです。
「経済財政諮問会議」は小泉純一郎政権の時代を中心に、政府と財界が一体になって「構造改革」路線を推進する“司令塔”となったものです。財界が経済運営全体についてこれほどあからさまに関わるのは例がなく、「財界の、財界による、財界のための」政治だと批判を呼びました。安倍政権では閣僚が参加する「再生本部」と「諮問会議」が連携して司令塔役を果たすとしていますが、「再生本部」に設けられる「競争力会議」にも財界が参加しており、安倍政権の経済財政政策を、事実上財界が牛耳っているのは明らかです。
実際、「経済財政諮問会議」には、東芝と三菱ケミカルホールディングスの社長が財界から民間議員として参加します。「競争力会議」には、長谷川閑史経済同友会代表幹事や経団連副会長らが参加する予定です。小泉「構造改革」を主導したことで有名な経済学者で元小泉内閣の閣僚の竹中平蔵氏も挙がっています。
財界は安倍政権の復活を大歓迎して、新政権への要望を次々突きつけています。経団連は米倉弘昌会長の新年メッセージでも「民間が持てる力を最大限発揮できる環境を早期に整備していくよう」求め、「大胆な規制・制度改革」や「法人実効税率の引き下げ」など、大企業がもっともうけを増やせるようにとの身勝手な要求を並べ立てています。年末に発表した「新内閣に望む」には、原発の再稼働や環太平洋連携協定(TPP)への一刻も早い参加などの要求も並べました。
「競争力会議」に代表幹事の参加が予定される経済同友会も、「年頭見解」で、「民主導による構造改革の再起動を」と求め、「民間人の知見を十分活用するべき」だとあからさまに求めています。
財界中心の政策の転換を
こうした財界の利益を最優先した経済対策では、日本経済の再生は望めません。日本経済は国民の所得が落ち込み消費が低迷して、「停滞の20年」といわれるほど成長が止まった状態です。安倍首相がいうような異常な金融緩和と公共事業の拡大、大企業本位の「成長政策」では、ひずみが拡大することはあっても経済が再生することはありません。財界中心の経済政策の転換こそが不可欠です。