石巻市議会承認で1月大川小検証委開催へ
遺族が批判する「人選」への“文科省の言い訳”
1
東日本大震災の津波で、多くの児童が犠牲になった石巻市大川小学校。12月21日、この惨事を検証する「第三者検証委員会」の設置を石巻市議会が承認した。市教委は、文部科学省が示した設置案に関し、「(遺族から)概ね異論のない状態」などと説明したが、実際には「人選」などに対して遺族から異論や疑問が噴出、国や教育委員会への不信は強まる一方だ。
調べていくと、知られていなかった事実が次々に明らかになっていく石巻市立大川小学校の惨事。最近は、別のテーマで全国どこに出かけて行っても、「大川小の話を聞きたい」という教育関係者や親御さんが多く、その関心の高さには改めて驚かされる。
それだけ大川小の検証の行方は、全国から注目されているのだろう。
12月21日、石巻市議会は、大川小学校の惨事を検証する「第三者検証委員会」の枠組み、委託先機関、委員・作業チーム員の人選、検証スケジュール等に対し、11月25日の第2回円卓会議(文科省主導による文科省、宮城県教委、石巻市教委、ご遺族の4者会議)の場で、文科省が提示した案について異論がないかどうか確認を行ったところ、委員1名の人選を除いて「概ね異論のない状態となった」などという説明を市教委から受けた。
また、文科省では、円卓会議欠席者への資料の郵送、すべての遺族への円卓会議議事録の郵送、文科省案に対するアンケート(14世帯より回答)の結果、委員1名の参画を見送ることとし、「(遺族の)一部に異論はあるものの、大方のご理解はいただけたものと判断したものと聞いている」と市教委が報告。これを受けて、同市議会は、今年度一般会計補正予算などの議案を可決し、「大川小学校遺族との合意を得てから執行すること」との付帯決議により凍結されていた検証委員会設置の予算が、執行されることになった。
早ければ2013年1月にも、第1回検証委員会が開かれる見通しだ。
市議の追及にもズレた回答をする
教育長と総務部長
検証委員会の問題は、12月18日の本会議の一般質問でも取り上げられた。
質問に立ったのは、森山行輝市議。
「なぜ、ご遺族の共通理解を得られないまま、検証委員会に入ることになったのか?」
これに対し、境直彦教育長の答弁は、相変わらず質問の趣旨とズレている。
2
「これまでも遺体捜索の継続を始め、様々な支援を行っております。今後も話し合いの場を設けるなどの取り組みは、継続していきます」
以下、森山市議の追及が続く。
――(学校現場から)唯一生存されたA先生の聞き取りがいちばん大事。早く会わせてほしいと主張してきたが、これまでどのような回答されてきましたか。
境:「病気休職中であり、主治医に伺いを立て進めてます」
――検証委員会の委員候補の名前などの資料が遺族の元に届いたのは、円卓会議の前日の夕方で、何の準備も調べる時間もないまま、会議に臨んだ。この1回の会議だけで、合意を得る環境が整っていなかったのではないか。
境:「教育委員会としても申し訳なく思っております。文科省はギリギリまで尽力されて、取りまとめて頂いた。転送されて後日届いたとのお叱りも受けた。今後は、そのようなことがないよう心がけていきたいと思います」
なんと表現すればいいのだろう。あえて言うなら、壊れたレコードを聴いているかのようだ。しかも、その「今後…」という機会は、もう訪れることはない。
――大事な検証作業を行う機関として、市が随意契約で発注するコンサル会社の代表が、委託を受けてまとめ役となるかもしれない委員の首藤伸夫東北大学名誉教授の娘である。親子関係の委員と会社が、市の2000万円の予算を使って行う検証作業は、適正なのか?
総務部長:「随意契約はできる場合もある。親子の情報までは把握できていなかった。しかし、公正中立は担保できると思っている」
――これでは、裁判官と検察官が同じだという捉え方になり、公正中立な作業に疑問を感じる。我々もきちんとチェックしていかなければいけない。遺族側からも、委員に入れてほしいという要望がずっとあった。どうして遺族の代表が委員に入らなかったのか?
境:「ご遺族から、文科省に要望があったと聞いています。文科省は、公平性中立性を確保できないとの観点から(遺族を入れることは)考えていないと認識しています。市教委としても、文科省の人選を尊重しています」
――総務部長、今回の随意契約のように、これからも親子や兄弟が、会社と委員の関係の中に出てきても何も問題はなく、前例になるというご理解でよろしいでしょうか?
総務部長:「私自身もまだ考え方がまとまっていないので、関係部局と勉強させて頂きたい」
遺族が批判する「人選」への“文科省の言い訳”
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東日本大震災の津波で、多くの児童が犠牲になった石巻市大川小学校。12月21日、この惨事を検証する「第三者検証委員会」の設置を石巻市議会が承認した。市教委は、文部科学省が示した設置案に関し、「(遺族から)概ね異論のない状態」などと説明したが、実際には「人選」などに対して遺族から異論や疑問が噴出、国や教育委員会への不信は強まる一方だ。
調べていくと、知られていなかった事実が次々に明らかになっていく石巻市立大川小学校の惨事。最近は、別のテーマで全国どこに出かけて行っても、「大川小の話を聞きたい」という教育関係者や親御さんが多く、その関心の高さには改めて驚かされる。
それだけ大川小の検証の行方は、全国から注目されているのだろう。
12月21日、石巻市議会は、大川小学校の惨事を検証する「第三者検証委員会」の枠組み、委託先機関、委員・作業チーム員の人選、検証スケジュール等に対し、11月25日の第2回円卓会議(文科省主導による文科省、宮城県教委、石巻市教委、ご遺族の4者会議)の場で、文科省が提示した案について異論がないかどうか確認を行ったところ、委員1名の人選を除いて「概ね異論のない状態となった」などという説明を市教委から受けた。
また、文科省では、円卓会議欠席者への資料の郵送、すべての遺族への円卓会議議事録の郵送、文科省案に対するアンケート(14世帯より回答)の結果、委員1名の参画を見送ることとし、「(遺族の)一部に異論はあるものの、大方のご理解はいただけたものと判断したものと聞いている」と市教委が報告。これを受けて、同市議会は、今年度一般会計補正予算などの議案を可決し、「大川小学校遺族との合意を得てから執行すること」との付帯決議により凍結されていた検証委員会設置の予算が、執行されることになった。
早ければ2013年1月にも、第1回検証委員会が開かれる見通しだ。
市議の追及にもズレた回答をする
教育長と総務部長
検証委員会の問題は、12月18日の本会議の一般質問でも取り上げられた。
質問に立ったのは、森山行輝市議。
「なぜ、ご遺族の共通理解を得られないまま、検証委員会に入ることになったのか?」
これに対し、境直彦教育長の答弁は、相変わらず質問の趣旨とズレている。
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「これまでも遺体捜索の継続を始め、様々な支援を行っております。今後も話し合いの場を設けるなどの取り組みは、継続していきます」
以下、森山市議の追及が続く。
――(学校現場から)唯一生存されたA先生の聞き取りがいちばん大事。早く会わせてほしいと主張してきたが、これまでどのような回答されてきましたか。
境:「病気休職中であり、主治医に伺いを立て進めてます」
――検証委員会の委員候補の名前などの資料が遺族の元に届いたのは、円卓会議の前日の夕方で、何の準備も調べる時間もないまま、会議に臨んだ。この1回の会議だけで、合意を得る環境が整っていなかったのではないか。
境:「教育委員会としても申し訳なく思っております。文科省はギリギリまで尽力されて、取りまとめて頂いた。転送されて後日届いたとのお叱りも受けた。今後は、そのようなことがないよう心がけていきたいと思います」
なんと表現すればいいのだろう。あえて言うなら、壊れたレコードを聴いているかのようだ。しかも、その「今後…」という機会は、もう訪れることはない。
――大事な検証作業を行う機関として、市が随意契約で発注するコンサル会社の代表が、委託を受けてまとめ役となるかもしれない委員の首藤伸夫東北大学名誉教授の娘である。親子関係の委員と会社が、市の2000万円の予算を使って行う検証作業は、適正なのか?
総務部長:「随意契約はできる場合もある。親子の情報までは把握できていなかった。しかし、公正中立は担保できると思っている」
――これでは、裁判官と検察官が同じだという捉え方になり、公正中立な作業に疑問を感じる。我々もきちんとチェックしていかなければいけない。遺族側からも、委員に入れてほしいという要望がずっとあった。どうして遺族の代表が委員に入らなかったのか?
境:「ご遺族から、文科省に要望があったと聞いています。文科省は、公平性中立性を確保できないとの観点から(遺族を入れることは)考えていないと認識しています。市教委としても、文科省の人選を尊重しています」
――総務部長、今回の随意契約のように、これからも親子や兄弟が、会社と委員の関係の中に出てきても何も問題はなく、前例になるというご理解でよろしいでしょうか?
総務部長:「私自身もまだ考え方がまとまっていないので、関係部局と勉強させて頂きたい」