河北信報より転載
福島のニュース
南相馬の農業用水に汚染水 除染で発生、340トン排水
日本原子力研究開発機構が発注した除染モデル実証事業(2011~12年)で、中堅ゼネコンの日本国土開発(東京)が福島県南相馬市の除染作業で生じた汚染水340トン(同社推計)を、農業用水に使う川に流していたことが11日、共同通信の調べで分かった。原子力機構は、川に流すことを知りながら、排水経路に触れていない国土開発の計画書を了承、地元に提出していた。
南相馬市は「排水の説明はなかった。排水されたことも知らなかった」と反発。福島県も説明は受けていないとしている。放射性物質汚染対処特措法(特措法)は正確な情報伝達を求めており、環境省は調査に乗り出した。
原子力機構は「地元と合意書は交わしていないが、排水については口頭で説明したはず」と説明。国土開発は「機構が地元に説明をしたと聞いていたので、排水してもいいと理解していた。農業用水に使う川とは知らなかった」としている。
同社は11年12月~12年2月、大成建設(東京)を中心とする共同企業体に加わり、国の除染特別地域に指定されている南相馬市金房小と周辺を除染した。
共同通信が入手した国土開発の内部資料「回収水等の分析データ」と取材回答書によると、作業で出た汚染水609トンを回収。このうち、水処理業者が処理するなどした269トンとは別に、放射性物質を検出した340トンを、12年1月から2月にかけて側溝を通じ、南相馬市内を流れ水田に水を供給する飯崎川へ排水していた。経費節減が目的とみられる。
「分析データ」によると、特措法の施行規則から、原子力機構が排水の目安として設けた放射性セシウムの管理基準(1リットル当たり最大90ベクレル以下)を超す121~100ベクレルの60トンも含まれていた。流された放射性物質の総量は、1600万ベクレルに上った。
原子力機構は、排水経路を省略して「汚染排水は集積箇所に運搬する」と記した国土開発作成の実施計画書を11年12月に了承。これが地元に提出され、南相馬市と農業用水を管理する請戸川土地改良区は、汚染水は外部に持ち出されると理解していた。
2013年07月12日金曜日
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南相馬の農業用水に汚染水 除染で発生、340トン排水
日本原子力研究開発機構が発注した除染モデル実証事業(2011~12年)で、中堅ゼネコンの日本国土開発(東京)が福島県南相馬市の除染作業で生じた汚染水340トン(同社推計)を、農業用水に使う川に流していたことが11日、共同通信の調べで分かった。原子力機構は、川に流すことを知りながら、排水経路に触れていない国土開発の計画書を了承、地元に提出していた。
南相馬市は「排水の説明はなかった。排水されたことも知らなかった」と反発。福島県も説明は受けていないとしている。放射性物質汚染対処特措法(特措法)は正確な情報伝達を求めており、環境省は調査に乗り出した。
原子力機構は「地元と合意書は交わしていないが、排水については口頭で説明したはず」と説明。国土開発は「機構が地元に説明をしたと聞いていたので、排水してもいいと理解していた。農業用水に使う川とは知らなかった」としている。
同社は11年12月~12年2月、大成建設(東京)を中心とする共同企業体に加わり、国の除染特別地域に指定されている南相馬市金房小と周辺を除染した。
共同通信が入手した国土開発の内部資料「回収水等の分析データ」と取材回答書によると、作業で出た汚染水609トンを回収。このうち、水処理業者が処理するなどした269トンとは別に、放射性物質を検出した340トンを、12年1月から2月にかけて側溝を通じ、南相馬市内を流れ水田に水を供給する飯崎川へ排水していた。経費節減が目的とみられる。
「分析データ」によると、特措法の施行規則から、原子力機構が排水の目安として設けた放射性セシウムの管理基準(1リットル当たり最大90ベクレル以下)を超す121~100ベクレルの60トンも含まれていた。流された放射性物質の総量は、1600万ベクレルに上った。
原子力機構は、排水経路を省略して「汚染排水は集積箇所に運搬する」と記した国土開発作成の実施計画書を11年12月に了承。これが地元に提出され、南相馬市と農業用水を管理する請戸川土地改良区は、汚染水は外部に持ち出されると理解していた。
2013年07月12日金曜日