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ロレンツオ・ロット展








ヴェネツイアに旅する前にと訪れた、ロンドンのナショナル・ギャラリーで開催中の Lorenzo Lotto「ロレンツォ・ロット」展へもう一度行ってきた。


ロットは15世紀ヴェネツィアに誕生した画家で、大ティッツイアーノの派手な活躍の影で忘れられていたうちの一人だ。

この展覧会は、王侯貴族相手ではなく中産階級を主なクライアントに仕事をしたロットの肖像画家としての才能をとても高く買っている。


...わたしのド素人の見るところ、初期の頃の作品を見ていると個性や独創性に乏しくとても退屈な肖像画を描くアーティストだという印象を受ける。

気の毒だがそりゃティッツイアーノには完敗だわな、と。


しかし、ある時点で呪縛から解放されたのだろうか(実際、何が起こったのかを知りたい。ヴェネツィアを心身ともについに離れたとかでいいのかな?)、次第に男性の肖像画には、鑑賞する側をあっと言わせる、モデルと鑑賞者の間の架け橋のようなものを感じさせるようになる。

こうして彼は、晩年までに男性対象はすばらしく能く、鑑賞していて愉快になるほど描けるようになったと思うが、女性は最後まで描けなかった...

というのがわたしの感想。


なぜここまで彼の描く女性には魅力がないのだろう、関心がなかったのか、それとも関心がありすぎて禁じていたのか、母親との関係か、社会観念から逃れられなかったのか、どんな想像も的外れなのか。

描けていることよりも描けていないことこそがとても興味深い、と思った展覧会だ。



(左上から時計回りで展覧会のポスター。展覧会は撮影禁止ゆえに、以下は12月にウイーンの美術史美術館で撮影したもの《白いカーテンの前の青春》1508、《金色の前足を手にする男》なんとハンサム、超タイプ(笑)1525・27、《聖母子と聖キャサリン、大ヤコブ》1527・33)
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