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beatrice rana



毎日同じような、しかも拙いシロウトの話で失礼します...


昨夜のエフゲニー・キーシンに引き続き、今夜もすごいものを見て(聴いて)しまった!


Beatrice Ranaのピアノリサイタル...


Chopin
12 Etudes op.25

Ravel
Miroirs

Stravinsky
3 Movements from The Firebird Suite arr. Guido Agosti for piano



何年か前に彼女が何か受賞した折、BBCラジオのインタビューに答えているのをたまたま聞いたのだった。
いかにも溌剌として聡明そうな20歳くらいの女性だった(今24歳だそうです)のが深く印象に残っていて、ロンドンで演奏するならぜひ、と思っていたのだ。

両親ともにピアニストの家庭に育ち、話せるようになる前(2歳くらいで!)からバッハを弾いていたと。天才。


ショパンのエチュード、特に6番や11番の難曲のリズムと音の豊かさがすばらしかった。

テンポの遅い曲はルバートがものすごーく過剰で、普段ショパンはルビンシュタインやツィマーマンを愛聴しているためか、全く違う曲に感じる部分もあった。しかしそれはそれとしてほんとうに美しかった。
ひとつひとつの音が驚くほど正確で豊かで美しく、同時に12曲全体としても完璧に美しかった。


「新音楽時報」の中でシューマンが評して書いたという、「練習曲を聞いた後は(中略)話すことはほとんどできず、賛辞などまるで見つからない」状態。


ラヴェルの「鏡」組曲も、こちらがまた言葉が見つからないほどすばらしかった。彼女自身がものすごく楽しみながら8割くらいで演奏しているように見えた(そう見えたのです)のも好ましかった。8割くらいに見せながら完璧に弾くなんて、なんという成熟度だろうか。
どうやったら、あんな音を出せるのだろう...


「火の鳥」も不死の火の鳥そのもの。
年始に、BBC制作の、ストラビンスキーとディアギレフを描いた『春の祭典』を見、あの映像でも再現されていたストラビンスキーのこだわりと情熱!


凡人を幸せにする演奏もある一方、凡人を惨めにするくらいすばらしい演奏もあるのだなあと、アンコールの一曲、ショパンのプレリュード13番で泣きました。最近泣かされてばかりだ! ショパンの、こういった涼しい達観と、人生と折り合いをつけたような曲に弱いの...


こんな比較はナンセンスの極みだが、昨夜のキーシンはバービカンの大ホール(1158席)で満員御礼、今日はサウス・バンクのエリザベス・ホール(360席)で3分の一は空席だった。もったいない。
彼女は絶対にもっと売れるべきだと思うし、わたしも次回も絶対に万難を廃してでも行く。バッハが聴いてみたい。宣伝できるものならしたい。



(写真はhttp://southbankcentre.co.ukから拝借)
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